新潟県三条市(滝沢亮市長)とKDDI株式会社(高橋誠代表取締役社長・東京都千代田区)は3日、「包括連携に関する協定」を締結した。協定に伴ってKDDIはデジタル技術に精通した燕市出身の専門人材1人を三条市に派遣した。人材の派遣はまだ例が少なく、新潟県内では三条市が初めて。
協定を通してデジタル技術を活用した市民サービスの向上や情報格差の是正、地域活性化などを推進するために、相互の連携強化を図ることを目指す。
連携項目は、行政事務・サービスのDX推進に関すること、防災、危機管理、暮らしの安全安心のDX推進に関すること、その他、この協定の目的を達成するために必要な事項に関すること。
3日、三条市役所で締結式が行われ、滝沢市長とKDDIソリューション事業本部・ビジネスデザイン本部の那谷雅敏本部長が協定書に署名した。
滝沢市長は「しっかりとKDDIとタッグを組んで連携し、市民に還元できるような形で前に前に進めていきたい」、那谷本部長は人材の派遣について「まずは三条市の状況をよく理解し、三条市の持続的な発展を目指し、地域活性化に向けて、DX分野で協力して取り組んでほしい」と期待した。
三条市はこれまでDX分野での連携協定は結んだのは今回が初めて。KDDIは、自治体との連携協定は三条市が全国で82例目、県内は新潟県、長岡市に続いて3例目。連携協定に伴って人材派遣を行っているケースはわずかで、県内では三条市が初めて。今回の協定は、KDDIから三条市へ専門人材を派遣してもらうという話で始まり、あとから連携協定を結ぶ形になった。
三条市に派遣されたのは、青木僚児さん(33)。燕中から長岡高専、長岡技術科学大学大学院へ進み、2014年にKDDIに入社。ずっと東京の本社に勤務し、社内のイントラネット構築の指導やシステムエンジニア部門に所属したり、ゼロトラストセキュリティに取り組んだりして専門性を磨いてきた。
三条市への人材派遣は所属部署に声かけがあった。三条市のとなりの燕市の出身のこともあり、手を上げた。出向という形で任期は10月1日から2年間。情報管理課に所属し、肩書きは「デジタルアシスタントオフィサー」。9年ぶりにふるさとへ戻り、新たな環境で働く。
具体的に何に取り組むかは決まっていない。庁舎内の業務効率化やDXの推進のため、現状でDXへ転換できる余地を見つけ、優先度を考えて道筋をつけていくことから始める。
青木さんは「KDDIとしてもこういった取り組みをこれから増やしていきたいと。学ばせていただくような立場でもあり、いろんな情報提供、情報共有したうえで形だけにならないように有効で実用的な取り組みに落とし込むところを目指し、2年という短い期間だが努めていきたい」と話していた。