新潟のご当地アイス「もも太郎」で知られる株式会社セイヒョー(新潟市北区)の三条市出身で今も三条市民の飯塚周一社長(58)は、7月1日に発刊した著書『1本60円のアイスを売って会社の価値を4倍にした話 地域限定企業を再生させた経営哲学』(徳間書店)103冊を4日、地元三条市に寄付した。
飯塚社長は妻の睦子さんとともに三条市役所を訪れ、滝沢市長に寄付した著書の目録を手渡した。市内すべての小中学校と義務教育学校、それに図書館等複合施設「まちやま」に配置する。
睦子さんは著書を50冊ほどもらって好きにしていいと言われ、特別支援学級で介助員を務めた経験から学校に寄付したいと考え、まずは地元の三条市にと初めて寄付をした。
セイヒョーは創業からことしで108年目。氷屋でスタートし、冷蔵庫が普及するとアイスクリームや冷凍倉庫、飲料なども手がけた。
飯塚社長は三条市出身で条南小から開校した南小に移り、第一中に進んだ。定時制高校を卒業し、地元紙「三條新聞」に掲載されたセイヒョーの求人広告がきっかけで入社。三条工場に約20年勤務したあと、本社勤務になって約20年。2011年に社長に就き、今も三条から本社へ通っている。
同書ではセイヒョーの108年の歩み、そしてタイトルにもあるように1本60円のアイス、もも太郎を売って2020年からわずか3年で時価総額を約4倍に押し上げた話などをつづっている。
創業当初から同族経営ではなく組合的な会社だった。入社してからそうした状況を知り、「おれにも社長になるチャンスあるなと、入社2、3日目に言ってたらしい」と、のちに先輩に指摘された。
すでに同書を読了していた滝沢市長は、自身も滝沢家が市長を選んだわけでなく市民に選ばれた市長に就いている状況はサラリーマン社長のようなもので、「外から入ってきて、でもやっぱり今ある課題に向かい合って変えなければならないとか、いいところは伸ばしていかなきゃいけないっていう、非常に立場が似ていると読んでいてすごく感じた」と飯塚社長に共感した。
飯塚社長は著書を通じて「地元にこういう会社があることをいうのを知っていただいて将来、おとなになったら、セイヒョーに入りたい、セイヒョーで活躍したいと思ってもらえれば。今は都会に行って戻ってこない若者が多いなか、魅力のある企業が新潟に増えていくようにすれば、新潟の発展もあるのかと思う」とUターン就職につながることに期待した。
滝沢市長は「地元の企業でいろいろな会社があるという社会勉強の一環になると思う。“まちやま”にも寄付してもらい、おとなも読んで地元の企業のことをより知る機会になる」と感謝した。