新潟県三条市内の宗派を超えた仏教寺院54カ寺からなる「三条市仏教会」(佐藤道春会長)は、45歳以下の若手僧りょでつくる「三条法輪会」(会長・大渓太郎正覚寺当院)の主管で9日、「ジオ・ワールド ビップ」(三条市)で生物学者で作家の福岡伸一氏(63)を講師に第50回記念仏教文化講演会を開き、約400人が来場した。
幅広い視点から仏教にふれ、考えてもらおうと毎年、開いている。今回は第50回の節目。福岡氏はメディアでもおなじみで、科学者でありながら哲学的で動的平衡論を提唱。仏教の生命観に通じるところがあると講師を依頼した。
テーマは「生命を捉えなおす〜動的平衡(へいこう)の視点から〜」。福岡氏は黒い中折れ帽にえんじの色のちょうネクタイで演壇に立った。
冒頭、福岡氏は燕三条を時々、訪問していると話した。弥彦山に生息するギフチョウを春に見に来る。「春の女神」として知られ、今では日本では限られたところにしか生息していない貴重なチョウ。「それが弥彦山にすごくたくさん乱舞していて、天国みたいな所。虫オタクにとっては本当に聖地みたいな場所」と述べた。
「命を知る、命っていったい何だろうというのがきょうのテーマ。それは主催する仏教会も当然、信仰、宗教を通じて命の問題を考えていると思うし、宗派、宗教を問わず命をどうとらえたらいいかは人間にっていちばん大事な問題と思う」と命の問題を宗教に引きつけて話した。