13日から29日まで新潟県燕市の燕図書館で開かれている絵本作家、鈴木まもるさんの絵本原画展にあわせて14日、来燕した鈴木まもるさんを講師に講演会「絵本と鳥の巣のふしぎー鳥の巣が教えてくれること」が開かれ、参加した40人余りは鈴木さんの鳥の巣愛あふれる軽妙な話しを楽しく聞いた。
鈴木まもるさんは1952年、東京都生まれ、東京芸大中退。赤い鳥さし絵賞、講談社出版文化賞絵本賞、産経児童出版文化賞JR賞などを受賞している。主な作品に『ピン・ポン・バス』『がんばれ!パトカー』(偕成社)、『せんろはつづく』『つみきでとんとん』(金の星社)、エッセイに『バサラ山スケッチ通信』(小峰書店)などがある。
鳥の巣研究家として 『日本の鳥の巣図鑑 全259』(偕成社)、『鳥の巣いろいろ』(偕成社)、『鳥の巣の本』、『世界の鳥の巣の本』、『ぼくの鳥の巣コレクション』(岩崎書店)、『鳥の巣みつけた』『鳥の巣研究ノート』(あすなろ書房)などの著書があり、全国で鳥の巣展覧会も開いている。
講演会では前半は絵本の話だったが、中盤からは鳥の巣の話に。愛用のトランクに入れて海外で入手したものも含む鳥の巣の実物を持参した。
ウグイスが「ホーホケキョ」と鳴く理由やササの葉で巣を作ること、オーストラリアとニューギニアに生息するオヤシドリの巣や習性になどをホワイトボードに絵を描きながら話したり、持参したヒツジの毛でできたふわふわの巣を参加した全員にさわって感触を確かめてもらったりした。
鳥の巣の絵本を描き始めたのは、「当時は鳥の巣の絵本がなかったから自分で描こうと思った」と鈴木さん。最初はなぜ鳥の巣が好きなのか自分でもわからなかったが、あるときわかった。
「こういう絵本は小さいお子さんたちが読んで元気になるためにつくっている。鳥も親が小さいひなが元気になるように巣を作っている。形は全然、違うけれども、ものを作ることで小さな命が元気に育つ」。
さらに「皆さんのやってることはお金のためだと思われてる人もいるが、そういう資本主義経済の前からやってるものづくりだと思う。それで命が育つにことにつながっていく」と人間社会にも引きつけて話した。だじゃれも連発して笑いもいっぱいで、2時間半の講演時間もあっと言う間。それでも足りないくらい鳥の巣愛を熱く語った。
絵本原画展は29日まで開かれ、『せんろはつづく』シリーズをはじめ、『つみきでとんとん』や『ツバメのたび』(偕成社)など23作品の原画47点を展示している。