新潟県三条市は、来年3月に三条市に開院する済生会新潟県央基幹病院の開院をはじめとする県央地域の新たな医療提供体制と病院の受診の仕方などについての医療再編市民説明会を10、11月と5日間で市内8会場での開催を計画。その初回が15日、第四中学校で開かれ、市民約100人が参加した。
この日は、県福祉保健部地域医療政策課の菊池雅明課長が県央医療圏の現状や課題への対応、新潟県央基幹病院長予定候補者で福祉保健部参与の燕労災病院・遠藤直人院長が県央基幹病院の概要や診療機能、ハード整備、医療スタッフの確保状況、地域密着型病院となる済生会三条病院・県立加茂病院・県立吉田病院の診療機能、三条市医師会の田中吉明会長が診療所(かかりつけ医)の役割と受診、三条市消防本部から救急車の適切な利用などについて話した。
厚生連三条総合病院と燕労作病院は3月1日の開院予定日に引っ越し、跡地に病医院機能は残らない。外来診療は3月4日から開始し、徐々に診療機能を拡大。産科など一部の診療科は4月1日から診療開始する。
心配されている医療スタッフの確保状況について、医師は開院時に70人ていどを予定しているが、これで十分ではなく、いっそうの医師の確保に期待している。
看護師は400人以上のほか、メディカルスタッフ、理学療法士などのリハビリスタッフ、薬剤師など150人以上をすでに確保した。遠藤院長は「400床として病院を開院するに必要なメディカルスタッフの数は確保している」が、「より対応できるような医療体制、看護体制を目指して現在もこれからもさらにメディカルスタッフを募集中であり募集を進める」とした。
質疑応答では、計画通り22の診療科が開設できるのか、「医師確保が進まない加茂病院と同じ轍を踏んだら大変なことになる」との質問に菊池課長は、「22の診療科の開設には直近の精査の段階では医師が70から80人くらい。その確保に向けて鋭意努力している」とし、「確保は新潟大学医学部から医師を派遣してもらうのが基本」だが、「県央基幹病院の中心になる救急科、総合診療科、麻酔科は派遣がなかなか難しいという状況」と答えた。
しかし、「県外から医師を確保するために働きかけを続けており、その部分でも県央基幹病院の機能を発揮するに十分な数は確保できているという状況」。さらに「新潟大学からの医師確保は大学の医局の人事の関係もあり、一定のタイミングが必要な状況だが、現在調整中で12月ぐらいに具体的に説明、提示できる」説明した。
また、地域密着型病院となる3病院は、内科の医師だけが常勤になるが、県央基幹病院で急性期を脱した人が地域密着型病院に転院するにも関連の医師がいなければ転院できず、「県は基本的に今の診療科ができますというふうに何回も去年の説明会でも言っている。県が責任をもって医師の確保をお願いしたい」という質問もあった。
これについては「具体的に詳細は県央基幹病院全体の話と同じ12月のタイミングに合わせるような形でほかの病院の診療体制についても具体的に話ができるようになると思う。基本的には現行の体制を維持する方向で医師確保の調整を行っている」と答えた。
また、済生会三条病院では「例えば全身麻酔の手術はもう三条病院ではやらないという状況で診療内容がどうしても変わる。それに対応する医師は今後、ほかの病院に行くかもしれない」が、「患者さんたちに問題のないように事前に主治医と相談して、話をして決めるので、3月1日に突然ばたっと変わることのないように対応中」。
「産科、小児科なくなるのが三条病院の今後の姿だが、今のままを目標に交渉中」で、「患者さんの安全や診療について支障のないことを最優先課題に検討したい」と述べた。
会場の第四中学校のある井栗地区やとなり保内地区の住民にとっては便りにしてた厚生連三条総合病院が県央基幹病院に統合されることがいちばんの関心事。出席した地元の夫婦は「今まで三条総合病院へ行ってたけど、紹介状をもらって別の診療所へ通うようになった。本当は三条総合病院も残してもらいたかったんだけど仕方ない。県央基幹病院は遠いし、道も悪いし。いいような、わるいような」と、救急医療が大きく改善することを歓迎しながらも複雑な心境だった。
市民説明会は市内8会場で開かれる。今後の7会場の市民説明会の開催日程は次の通り。
10月21日(土)午後2時 | 大崎会館 体育館 |
農村環境改善センター 多目的ホール(栄地域) | |
10月22日(日)午前10時 | 下田公民館 多目的ホール |
10月29日(日)午前10時 | 総合福祉センター 多目的ホール |
三条東公民館 多目的ホール | |
11月 4日(土)午後2時 | 中央公民館 大集会室 |
大島公民館 大集会室 |