「無印良品 燕」(駒井汐音店長・新潟県燕市東太田)が20日(金)のオープンを前に19日(木)、プレオープンした。地元の「ムジラー」をはじめ無印良品の商品の愛用者には待望の県央地域初出店。地元金属加工業の工場で生産工程から出る廃材を活用した店内装飾も注目だ。
新潟県内では7店舗目の出店。国道289号をはさんで協栄信用組合の向かいに原信が開発した東太田地内のショッピングセンター内に建設した。売り場面積は約490坪。先に9月30日に移転オープンしたスーパー「原信燕店」に隣接出店する。午前10時から午後8時まで営業する。
廃材を活用した店内装飾は、店内に入って左のサービスカウンターとレジのコーナーの壁面2面を飾る。新潟市のクリエイターのデザインで、壁に黒いパネルを張り、そこに金属板からスプーンやモンキーなどを抜き加工したあとに残る廃材をすき間なくびっしりと並べた。
照明を当てた演出もあり、廃材の形はまちまちだが、金属の重厚感も感じられて、まるでアート。「なんか燕三条らしくていいなと思って」とスマホで写真を撮る人もいた。
使った廃材は三条市の「三条ものづくり学校」が手配した。燕三条地域の41社の廃材が寄せられた。廃材を提供した会社の所在地を記した「ものづくりMAP」も制作し、店内に掲示している。
「三条ものづくり学校」は「無印良品 直江津」でワークショップを担当している。また三条市のまちなか交流拠点「ステージえんがわ」には年に何度が無印良品の移動販売バスが訪れているといった接点が燕三条地域とあった。
一般的な店舗で、これほど店内装飾に地域性を盛り込んだのはほかに例がないと言う。無印良品を運営する株式会社良品計画(堂前宣夫代表取締役社長・東京都豊島区)の営業本部信越事業部・樋熊朋史部長は新潟市出身は「ぼくの思い」と話す。
樋熊部長は元々、売り場づくりの部門にいて、大事にしている素材を集積させるディスプレーを自社のプロダクトでやってきた経験がある。「その手法を使って、何か地域性を出せないかと考えた。ほかではできないこと。燕三条だからできた」。
「毎日でなくてもいいから週に1回くらい買いにて来て、新しい商品が出たときに無印が出すものなら1回、使ってみようかなと思われるよ存在になりたい」と願っている。
地域の生産者や事業者と連携し、出店者や生活者の交流の場を目指したマルシェ販売やワークショップのイベントなどを行う「つながる市」を開催する。オープンの10月20日(金)から22日(日)までの3日間は、燕市、三条市を中心とした菓子やコーヒー、アクセサリー、金属製品を扱う店などが日替わりで出店。今後は月1回ていどの開催を予定する。
そのためのスペースが用意されている。19日にプレオープンに来店した燕市の鈴木力市長は燕市に出店してくれたことに感謝し、「つながる市」のスペースの活用の方法について「いっぱいいろんなことが頭をかけめぐっている」とさっそく知恵をしぼっていた。
プレオープンに訪れた結婚して燕市に住む女性(36)は、新潟市出身で東京で働いていた間に2年ほど頭の先からつま先まで無印商品でかためる「ムジラー」だった。10代後半から無印良品にはまった。「オーガニックコットンが好きで、会社に着ていっても失礼ではないと思って」。「百円ショップよりは高いけど専門的よりは安いし、化粧品はとても安い」と、またムジラー熱が高まりそうだった。
神奈川県出身で燕市に住む女性(49)は「無印、好きなんです。新潟市の亀田や東京に行ったときに無印に行ってたんですけど、ここにできるので心待ちにしてカレンダーに書いて待ってました」。収納を見直すときに一気に何万円も使うとかで、「近くにできてすごくいいです。週1で来ます」と声を弾ませていた。