燕・弥彦総合事務組合(管理者・鈴木力燕市長)は、心肺停止した人にAED(自動体外式除細動器)を使うなどして人命救助に貢献した新潟県燕市の小中川卓球クラブと小中川バドミントンクラブに感謝状を贈って功績をたたえた。
小中川卓球クラブで燕労災病院で理学療法士として勤務し、今は三条市の医療洋品店でアルバイトに就く熊木裕さん(64)=燕市=と小中川バドミントンクラブの会社員名地公弘さん(48)=燕市=が市役所を訪れ、若林純一消防長も同席するなか、燕・弥彦総合事務組合管理者の鈴木市長から2人に感謝状を手渡した。
両クラブは一般のスポーツクラブで、同じ日に一緒に練習している。6月7日午後9時ごろ、小中川小学校体育館で両クラブ合わせて7人が練習中、小中川バドミントンクラブで審判をしていた60代男性が大きな音を立てて倒れた。
練習していたメンバーが駆け寄ると、顔色はみるみる悪くなり、白目をむいていた。119番通報する一方、燕労災病院で定期的に救命蘇生法を学んだ熊木さんは、嘔吐(おうと)していないことを確認したうえで仰向けにし、心拍が停止し、頸部(けいぶ)が硬直していたので、胸部圧迫を試みた。
一方で体育館入り口に設置してあるAEDを取りに行ってもらい、名地さんが体に電極パッドを張り付け、熊木さんが電気ショックを与えた。そこへ救急隊員が到着して救命措置を引き継ぎ、自己心拍が再開していることを確認し、病院へ救急搬送した。
病院で到着するまでに再び心肺が停止し、AEDで心拍を再開させ、結果的に一命を取り留めた。男性は8月下旬まで入院し、今では小中川バドミントンクラブが出場する大会の応援に出掛けようかと検討するほど回復した。
熊木さんは「病院に勤めていてもそういう現場にいなかったので、いくら講習会でやっていても実際にああいう状態を見るとびっくりした。ひとりじゃできなかった。みんなの力があったから」と振り返った。
名地さんは「ドラマでしかAEDを見たことがなかった。意外に冷静だった。ただまずいと思ったが、テンパってるとはならなかった。ひとりだったらどこから手をつけていいかわからなかったと思う」と話した。
若林消防長は「何ひとつ欠けてもうまくいかなかったと思う。救命の連携プレー、2団体が素早く動いたおかげと思う」、鈴木市長は「不幸中の幸い。スピードが生命線みたいなところがあるから」と迅速な対応に感謝した。