新潟県燕市出身の陶芸家、陣川愛さん(43)=東京都八王子市=は、自身初となる個展はふるさとでと3連休の3日(金)から5日(日)まで、加茂市の「清雲亭山重 ヤマカフェ」で「陶房 源しろう 器展」を開き、ご飯茶わんやはし置き、れんげなど、有田焼の器約100点、展示している。
陣川さんは燕市で生まれ。女子美術大学芸術学部芸術学科を卒業し、在学中に通った陶芸教室で有田焼に目覚め、さらに佐賀県立有田窯業大学校ろくろ科を卒業。窯業に就き、伊万里・有田焼伝統工芸士の村島昭文氏に師事した。
結婚で上京して陶磁器メーカーに勤め、8年前に窯付きの物件を購入。イベント出店などを行っていたが、デパートにも出るようになって「ちゃんと屋号をもって活動した方がいいと思った」。ことし6月に実家の屋号から名付けた「陶房 源しろう」を開き、独立した。
「準備があまりに忙し過ぎて余裕がなく、ほっとした気持ちしかない」と笑顔の陣川さん。会場の山重は以前、友人の披露宴で利用したことがある。「いちばん初めに有田焼を見たのが、料理屋さんだった。器が映える場所を選ぶのは難しく、もう山重さんしかないなと。器に興味をもってくれるお客さんも場所を選ばないと、見るだけで終わってしまうので」と鑑賞する人の視点も考えて空間にこだわった。
作陶で心がけているのは、実用性を備えたデザイン。今はふだん使いで楽しんでもらえる器をメインに作っているが、「有田焼の染付を見るのが好きで、染付がやりたいたがためにここ2、3年、水墨画を始めた。染付の作品を中心に今後は展開していきたい」と言う。