新潟県三条市は、1日(金)から5日(火)まで三条市東公民館で三条市若手芸術家支援事業として「高井将行(たかい まさゆき)展 ーひとのかたちー」を開き、自画像を描き続ける三条市出身で今は燕市に住む県立新潟向陽高校(新潟市江南区)の美術教諭の洋画家、高井将行さん(58)の2回目の個展となる展覧会を開いている。
高井さんは墨彩画で知られ、中央の美術団体「光風会」会友の高井茂さん(88)の二男。日展会友で光風会会員、三条美術協会会員で高校の美術教諭を務めながら作品制作を続けている。
県立三条高校3年生だった1983年、2回目の挑戦だった県展で初入選した。89年に筑波大学芸術専門学群を卒業し、高校美術教諭に。光風会展では2007年に初入選し、11年に光風会奨励賞を受け、18年に光風会会員に推挙された。
日展は2011年に初入選し、ことし会友に推挙。21年に県芸展で奨励賞を受け、着実に作家としての地歩を固めている。三条市若手芸術家支援事業は、全国規模で活躍する三条市の若手芸術家を支援しようと毎年、1人を取りあげており、その第9弾として高井さんに白羽の矢を立てた。
2つの多目的ホールに合わせて48点を展示する。一室にはカンバスに油彩で描いた大作の出展作品、もう一室にはパステルや水彩で描いたデッサンを中心に展示している。
大作のほとんどは自画像だ。父の影響もあって子どものころから絵を描くのが好きだった。高校2年生で友だちを描いて県展に応募した作品は入選しなかったが、3年生で入選した作品は自画像だった。
「新聞にも名前が載るので、県展入選はうれしかった」と高井さん。展示作品のなかで最も古い作品も大学時代に描いた自画像だ。「若いころから人物を描くのが好きだった。絵の仲間とモデルをし合ってよく描いた」。
友だちではモデルを頼むにも時間的な制約があり、自画像を描くことが増えた。母や妻にもモデルを頼むこともある。
カンバスに残された自分は、口を開けるなど脱力しているようなポーズが多い。「描き疲れてるからでしょうか」と高井さんは笑う。「これだけ描いてもすらすらと自分を描けず、試行錯誤しながら描いている」。
自画像に飽きることはない。「見た目の形の描写で終わらずに内面的なもの、生命感といった人間の本質的な部分を突き詰めて描いていきたい」と将来を見据える。
今回の展覧会の依頼を受け、広い会場に戸惑いがあった。「最初はできるかな、どうしようかなと思ったが、せっかくなので頑張ってやってみようかと思った」。結果、「作品を展示してまだまだ頑張らなきゃだめというのがよくわかった。これからもいろいろなことに挑戦していきたい」と新しい視点を自分を見詰め直すきっかけになっている。
2日は午後からワークショップ「3原色で油絵を描く」も行われる。毎日午前10時から午後6時まで開場、入場無料。