新潟県警加茂署(桃井克朗署長)は14日、加茂市内で発生した交通事故現場で事故車両から自力脱出できなくなった運転手を救出したボランティア部の高校生2人と会社員1人に署長感謝状を贈って勇気ある行動をたたえた。
表彰を受けたのはいずれも女性で、県立加茂高校ボランティア部の部長、3年樋口比菜多(ひぐち ひなた)さん(18)と次期部長の2年代田瑠音(しろた りおん)さん(17)、会社員皆川正子(みながわ まさこ)さん(46)の3人。桃井署長から一人ひとりに感謝状を手渡した。
11月14日午後5時ごろ、加茂市加茂地内で車2台が関係する交通事故が発生した。一方の軽自動車は助手席を下にして横転。そこに下校中でバスに乗っていた樋口さんと代田さん、会社へ戻る途中だった皆川さんが居合わせた。
樋口さんは「人が駆けつけるようすがなかったので、わたしたちが行かなきゃと思った」。代田さんは「樋口さんが先に出ていったので、自分も行かなきゃとついて行った」。
一方で信号待ちしていた皆川さんも「完全に横転している車を見て、どなたか車の中にいるようだったら通報して、なにかお手伝いができればと思った」と車を降りた。
ほかの人が運転手側のドアが開かないと言っていたので、皆川さんがリアゲートに手をかけたら開いた。自身の車と似た構造だったので、シートを倒し、車内で立っていた運転手を3人が力を合わせて救助した。助手席には高齢の人が乗っていて、横転した車の中で横になったままだったので、無理をせず消防の救助を待った。
皆川さんは「事故に遭われた方に冷静に声かけされてたなと思って」と高校生に感心し、「私たちも第三者だからちょっと冷静になれた部分があると思う。自分もそうなったら助けてもらいたいなと思いますけど」と笑った。
樋口さんは2年生のときに日赤救急法講習会を受けた。「そのときに事故とか何か危険な状態にあるときは、まず安全確認から声かけと習ったので、まずは安全確認して、習ったことを思い出したので割と冷静に声かけできた」と経験が役立った。
代田さんは「寒さと怖さで、足が震えてる感じがあったけど、樋口さんがいたからちょっと安心してできた」と先輩に感謝した。
桃井署長は「当事者が不安な状況のなかで皆さんが勇気を出して助けてくれた。幸いそのおかげもあって大きなけがもなく助かった」、高校生には「おとなも救助に当たるの難しいが、それを積極的にしてくれたのがいい結果を生んだ」と感謝した。