2013年に竣工した新潟県燕市の市庁舎は免震建築物で、1日の能登半島地震でも免震機能を発揮したが、地震のつめあとがはっきり残っている。
市庁舎の建物は地下にあるずらりと並んだ免震ゴムの上に建物が乗ったような構造。さらに建築物用免震・制振用オイルダンバーでも揺れを吸収し、揺れる方向も制御する。建物は最大60センチずれることがある。そのため建物の周囲には幅1メートル余りの溝が切ってあり、建物はこの溝がつくる空間を使って揺れることができる。
玄関など建物につながる部分には、建物側にちょうつがいのあるパネルを地面側に乗せてかぶせるような形になっている。地震で揺れるとパネルが上に跳ね上がって建物が揺れる。揺れが収まると再びパネルが元通りに戻るという仕組みだ。
今回の地震で夜間・休日出入口のパネルなどは元通りに収まったが、正面玄関に並ぶパネルのうち約2.5メートル四方の1枚は元通りにならず、浮き上がったままになるだけでなく一部は割れて落下し、穴も開いた。
主な原因は外から正面玄関に向かって建物が1、2センチほど左にずれたため。パネルが収まるスペースがなくなってパネルが元の場所に戻らず重なって浮き上がり、割れたりした。
また地盤沈下も発生した。建物と地面にまたがっていたコンクリートは地盤沈下で割れ、地面側が3センチほど下がった。市は2日、市有施設を巡回して被害状況の確認作業を行った。それらも含め、被害か所の修復を検討する。