【国定環境政務官に要望】能登半島地震で煙突が傾いたごみ処理施設の災害復旧に伴う財政支援を 燕・弥彦総合事務組合 (2024.1.4)

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1日の能登半島地震で新潟県燕市と弥彦村の一般廃棄物を焼却する処理施設の煙突が傾いたり、ずれたりする被害があったため、運営する燕・弥彦総合事務組合(管理者・鈴木力燕市長)は4日、現地の視察に訪れた国定勇人・環境大臣政務官に修復にかかる費用に国の災害復旧に伴う財政支援を要望した。

要望書を手に左から本間弥彦村長、細田衆院議員、国定環境政務官、鈴木燕市長
要望書を手に左から本間弥彦村長、細田衆院議員、国定環境政務官、鈴木燕市長

能登半島地震でストーカ炉の煙突が傾き流動床炉の煙突にずれ

煙突の被害があったのは、環境センター(燕市吉田吉栄)のごみ焼却施設。1984年竣工のストーカ炉と96年竣工の流動床(りゅうどうしょう)炉の2施設あり、それぞれの焼却炉でごみを区別せずに焼却している。

それぞれの施設に焼却炉が2系統ある。ストーカ炉は2系統で1本の煙突を共用している。煙突の先端まで地上から55メートルの高さがある。地上から33.5メートルの部分までが建物と一体化して煙突で、その上に鋼鉄製の内筒(ないとう)が刺さるような形で溶接されている。

左がストーカ炉、右が流動床炉
左がストーカ炉、右が流動床炉

内筒は下から6メートルがその下の煙突部分に納まっている。それがわずかに東側に傾いている。内筒が曲がっているのか、亀裂が入ってるいるのかは翌5日に業者が調査して確認する。

一方の流動床炉は四角い煙突に見えるが、中に2つの焼却炉から伸びる2本の煙突を格納している。円筒形の煙突は指輪を重ねるように背の低い円筒が積み重なっており、その2本のうちの1本の最上部が4〜5センチほどずれた。

4系統のうち3系統を稼働できず稼働は流動床炉の1系統だけ

ストーカ炉の上部の鋼鉄製の内筒が東側の右に傾いているのがわかる
ストーカ炉の上部の鋼鉄製の内筒が東側の右に傾いているのがわかる

このため規制の問題もあってストーカー炉の2系統と、流動床炉の煙突がずれた1系統が稼働できなくなり、4系統のうち1系統しか稼働できなくなった。

4系統それぞれに24時間で約60トンの焼却能力があるので、4系統で合わせて約240トン、1日16時間の稼働なので約160トンを焼却できる能力がある。

稼働している1系統で1日約40トンの処理能力にごみは1日約60トン、処理できないごみは長岡市が受け入れ

視察する国定環境政務官(国定事務所提供)
視察する国定環境政務官(国定事務所提供)

実績では1日に約60トンを焼却しているが、1系統だけでは1日16時間の稼働で約40トンしか焼却できない。毎日、約20トンを焼却しきれない計算だが、関東地方環境事務所長が長岡市副市長に協力を求め、燕市に近い長岡市中之島に新たに建設されたごみ処理施設で受け入れることになり、少しずつでも協力を頼む考えだ。

ストーカ炉の傾いたトンネルは、5日に業者が被害状況を確認するが、撤去して新しいものを設置する必要がありそうだ。流動床炉の煙突のずれた部分は、5日から修繕に入る。こちらは比較的に復旧できそうで、流動床炉が2系統とも稼働すれば合わせて1日16時間稼働で約80トンを焼却できるようになり、毎日、持ち込まれる約60トンのごみを上回る処理能力になる。

激甚災害指定が前提だが通常1/2の国庫補助率を8/10に引き上げを要望

視察する国定環境政務官や鈴木燕市長(国定事務所提供)
視察する国定環境政務官や鈴木燕市長(国定事務所提供)

とはいえ傾いた煙突はいつ折れるかもしれない。煙突の北側にはそばに弥彦線が走っている。東側に傾いているのは幸いだが、倒れれば建物を損傷してしまう。

廃棄物処理施設災害復旧事業の国庫補助率は通常1/2だが、新潟県中越地震、熊本地震、阪神・淡路大震災など過去の大規模地震災害では8/10に引き上げられている。

同じ煙突が2004年の新潟県中越地震で鋼鉄部分が折れて落花したことがあり、当時も8/10に国庫補助率が引き上げられている。今回の国定政務官に新潟県中越地震と同様の引き上げと、傾いた内筒の撤去工事も補助対象に含めるよう要望した。

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ただし、国庫補助率の引き上げは激甚災害の指定が前提条件とされ、能登半島地震の被害の規模の大きさからすると指定される可能性が高い。

4日は国定政務官とともに細田健一衆院議員も視察に同行し、管理者の鈴木力燕市長と福管理者の本間芳之が村長から要望書を手渡した。鈴木市長は「早急に改修が必要だと思っているが、いろんな手続きを待っていると危険な状態が続くので、速やかに撤去作業に入りたいと思っている。国庫補助率のかさ上げはもちろんだが、事前着工に配慮いただきたい」と求めた。

国定政務官は煙突復元までの対応と煙突リプレースに環境省の補助金の活用の支援を表明

国定政務官は現場の状況を視察して「事前に写真で確認をしている印象に比べてかなり傾いてるというのが率直な感想。煙突のかなり近いところに弥彦線も走っており、早急に対応していかなければいけないと思ったのが第1印象」と話し、環境省として2つの支援を表明した。

要望を述べる鈴木燕市長
要望を述べる鈴木燕市長

ひとつは以前の状態に復元できるまでのごみの広域処理などに補助金の活用を含めた力添え。もうひとつは新たな煙突のリプレースに環境省の補助金を活用して対応すること。

一方、能登半島の災害廃棄物の処理については、珠洲市、輪島市、能都町、穴水町の2市2町が極めて重要で、ここに対して災害廃棄物の仮り置き場をどうするのか、災害廃棄物の収集運搬ルートをどうしていくのか。実施主体の各市町村は手一杯の状況と思うので、環境省のプッシュ型支援という形で入り込んでいると話した。

鈴木燕市長は寄り添った支援の力強い言葉に感謝、本間弥彦村長は稼働に向けてスピードアップを要望

国定政務官に要望
国定政務官に要望

鈴木市長は「政務官から2つの方向性でしっかりと寄り添って支援するという力強い言葉をいただき本当にうれしく、頼もしく思った。事務的なルートもできたので、いろいろとさらに細かいことを相談させてもらいたい。非常に危険な状態なので一刻も早くこの危険な状況を処理できるように取り組んでいきたい」と感謝した。

本間村長は「一刻も早い復旧を望むが、一方で非常に危険な状況はずっと続いておりますので、余震もまだしばらく続くという話もある。一刻も早い危険の除去を優先をしたうえで稼働に向けてしっかりとスピードアップでやってほしい」と支援に期待した。

ただ、傾いた煙突は2004年に折れたときに新しく完全に復元されたのに、それからちょうど20年たって再び地震で傾いたわけで、大きな地震があるたびに被害が発生するようでは、構造の問題も検証の必要性がありそうだ。


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