「節分」の3日、新潟県三条市の法華宗陣門流総本山「本成寺」(鈴木日慧管長)で春を呼ぶ節分大祈願会の鬼踊りが行われ、善男善女が所願成就や事業繁栄の願いを込めて鬼に豆を投げた。
「節分」が明ければ春の始まり「立春」。本成寺の鬼踊りは室町時代本成寺の僧兵と農民が力を合わせて盗賊を追い払ったという故事にならい、厄払いの節分の豆まき行事として続けられ、三条名物になっている。
午前11時から事業繁栄祈願と厄歳お祓い祈願、午後2時から一般参詣者対象の2回あり、午前11時からの節分大祈願会には、本堂に300人近い参拝者が参集し、鈴木管長を導師に法要を営んだ。途中で白装束の4人の僧りょが参拝者の間を歩いて頭の上で木剣を打ち鳴らして払い清めた。
法要に続いて鬼踊り。鬼踊りの説明のナレーションのあと、3人の僧兵がうちわ太鼓をたたいて「南無妙法蓮華経」と題目を唱えながら外から舞台に上がって口上を述べ、なぎなたを振って気勢を上げた。
僧兵が舞台を降りるとドラや太鼓、ほら貝の音とともにそれぞれ人間の悪い心を表した赤、青、黄、緑、黒の5匹の鬼と三途川婆(そうずかば)が正面の舞台へ。金棒やさすまた、かけやなどを振り回して正面の舞台で踊り、大暴れしたあと、左右の舞台にも分かれて演じた。
鈴木管長の「福は内!」を合図に参拝者はダイズの福豆を投げると、たまらず鬼は外へ退散。僧兵は本堂の前で「えい、えい、おー!」と勝ちどきを上げて鬼を負かしたことを喜んだ。
鬼は境内を歩いて鐘楼堂で鐘をつくことで鬼のつのが取れて改心するという物語が完結。ここまで法要を含めて1時間の鬼踊りが幕を閉じた。
新型ウイルスの感染防止もあり、昨年は舞台は本堂の正面だけだったが、ことしは本来の左右にも設置して三方に戻した。昨年は行わなかった鐘楼堂の鐘つきも復活。黒門から境内まで30を超える露店が並び、すっかり感染禍前に戻った。
鬼に抱かれた赤ちゃんは健康に育つという言い伝えもあり、保護者は喜んで子どもを鬼に差し出した。見ているだけでも十分に怖いのに、鬼に抱かれて大泣きする子どもも多く、招福の三条名物の風物詩を楽しんでいた。