3月3日は桃の節句で「ひな祭り」。新潟県新潟市西蒲区岩室温泉では、3月10日までことしも「ひな巡り」が開かれており、温泉街を巡って旅館や商店など31カ所に飾られたひな人形を鑑賞してもらっている。
2012年に岩室温泉のまちあるきのおもてなしとして、かつて芸妓(げいぎ)の置屋だった風情ある建物を使った能面アトリエ「無匠庵(ぶしょうあん)」を見学してもらおうと、ひな人形も飾ったのが始まり。15年から毎年、ひな祭りにあわせて行い、ことしでちょうど10年目。岩室温泉の春を呼ぶ風物詩として定着している。
今もひな巡りの核となっているのは、無匠庵。北前船でやってきたと思われる享保(きょうほう)びなをはじめ、木目込み人形、つるしびな、木彫、土人形など時代も手法も多様なひな人形が歴史ある建物のなかで映えている。
ことしは能登半島地震で大きな被害を受けた石川県輪島市など被災地の復興を願い、輪島市の伝統工芸である輪島塗りのひな人形も飾り、能登半島地震災害義援金の募金箱も設置している。
ひな巡り期間中はスタンプラリーも行っており、新潟市岩室観光施設「いわむろや」では「ひな弁当」(1,500円)を販売。2日(土)はホテル「穂々〜hoho〜」でおひな様ロビーコンサートが開かれ、午後1時半から女声合唱「コーラス泉」が出演、2時からチェロ&ピアノ演奏会が行われる。
さらに10日(日)は午前11時からと午後1時からの2回、五葉会民謡の会による唄、踊り、三味線、太鼓の演奏が披露される。
また、岩室温泉のひな巡りは、新潟市内22カ所で開かれている「湊にいがた雛人形・町めぐり」の会場のひとつにもなっている。「湊にいがた雛人形・町めぐり」の人気は旧齋藤家別邸(新潟市中央区西大畑町)。
24日まで江戸時代の廻船問屋「間瀬屋」を営んだ鈴木家に伝わる昭和初期のひな人形や、大江山大渕の地主「渡邉家」に伝わる江戸時代の享保離、さらに古町で芸者置屋「庄内屋」を営んだ旧佐藤家に伝わる名妓・庄内屋シン遺愛の雛段飾りや道具の数々も展示している。