新潟県燕三条地域の地域資源を日本で暮らす若い外国人から発信してもらい、インバウンドにもつながればと1日、燕三条モニターツアーが行われ、県内の留学生ら7カ国の20代から30代の8人が参加して駆け足で燕三条で文化の体験や工場見学を行った。
燕三条地場産業振興センターが初めて行ったもの。母国に広く燕三条をPRする情熱がある人などを条件に参加者を募集したところ、19人から応募があった。
SNSのフォロワー数など発信が期待できることなどを基準に8人の参加者を選考した。8人は新潟大学5人、事業創造大学院大学2人と、東京の社会人1人。母国はドイツ2人とインド、中国、ロシア、ルーマニア、ベトナム、セネガルの1人ずつと多様な地域の参加者が集まった。
1日で5カ所を回り、皮切りは燕市の料理屋「明治屋」で抹茶をたて、燕市で伝承される天神講菓子づくりの2つの体験を行った。
抹茶は茶こしをつくる株式会社新越ワークス(燕市)スリースノー事業部長の山後隼人さん(30)、天神講菓子は飴屋本舗(燕市)の遠藤重樹さん(35)が指導を担当。参加者は4人ずつ2班に分かれて2つの体験に挑戦した。
山後さんは和服を着て茶の伝統や作法について話し、自社製品のスリースノーの茶こしを使って参加者一人ひとりから自分で抹茶をこして茶をたてて生菓子と一緒に味わってもらった。
天神講菓子は、遠藤さんが店で使っている天神講菓子を作るための道具を持ち込み、あらかじめ菅原道真をかたどった中にあんを入れた粉菓子に色づけをしてもらった。参加者はそれぞれの体験に目を輝かせてチャンレンジし、スマートフォンで動画を記録していた。
ルーマニア出身のパラスキブ・アレックスさんは、母国の大学を3年で休学し、奨学金を受けて昨年9月から新潟大学に留学し、日本語と日本文化を専攻している。昨年10月に初めて滝行にチャレンジしたというつわものだ。
この日の体験に「ひと言で言うと最高でした」、「日本独自な文化を楽しませていただいてすごく有意義な時間を過ごせた」と感激し、その後のプログラムも「すごく勉強になるから楽しみ」と話していた。
インド出身のパンチャール・マユリ・ラヴィンドラさん(26)は、昨年9月から事業創造大学院大学に留学している。インドで6年間、日本語を勉強し、修士課程を修了して今は「経営学を日本語で勉強している」。
外国に興味があり、子どものころからアニメや日本のドラマを見て日本に興味をもった。「日本語を勉強しながらその言語が話されている国も見たいと日本にも興味をもった」。日本の好きな食べ物はたこ焼き、好きなアニメは『名探偵コナン』。「もともと抹茶は好きだけど、抹茶をつくる作業は全然、知らなかったので、きょうはそれを知ることができてすごくうれしかった」と大満足だった。
このあとは燕市のラーメン店、麺's冨志で昼食。燕背脂ラーメンを燕市で製造されているステンレス製中空2重構造のどんぶり「メタル丼」で食べ、午後からは三条市の金工作家、須佐真さんを講師に燕市伝統の鎚起技術の体験、三条市の諏訪田製作所と日野浦刃物工房を工場見学し、燕三条駅観光物産センター「燕三条Wng」で買い物をして解散した。