新潟県燕市で市議を7期24年余り務め、プラスチック総合メーカー株式会社曙産業(大山剛社長・燕市南1)の創業者だった大山治郎さんが1月24日に老衰のため91歳で死去した。その遺族が22日、燕市役所を訪れ、社会福祉に役立ててほしいと100万円と絵画を燕市に寄付した。
大山治郎さんの妻、弘子さん(88)と二女の昌子さん(63)、その夫で社長の剛さん(63)が市長室を訪れ、剛さんから鈴木力市長に寄付を手渡した。絵画は市長室に飾り、鈴木市長と剛さんで作品にかけてあった白布を引いて除幕した。
作品は新潟市出身の画家、長谷川健司さんの油彩「風の王国」(50号)。10人の子どもが緑の上で手をつなぐなどしているようすが描かれている。
治郎さんは美術品のコレクターで知られ、燕市の喫茶&カフェ「六朝館」に大山治郎コレクション美術館を併設して作品を展示している。
「子育てするなら燕市で」をキャッチフレーズに、燕市は子どもの進学から就学まで切れ目のない支援を目指していることから、それにふさわしい作品を選んだ。現在で数百万円の価値になるという。
四十九日も終え、治郎さんは市議として燕市の世話になり、何よりも燕市のこと思っていただけに恩返しにと寄付した。
毎日、仏壇の世話をしている弘子さんは、通夜で25分にも及ぶ弔辞を述べた鈴木市長に「葬儀のときは弔辞をいただき、大変ありがとうございました」と感謝すれば、鈴木市長も「読みながら自分も泣いてしまいました」と頭をかいた。
剛さんも治郎さんが「市議会議員として23年間も市役所にお世話になりました」と感謝。鈴木市長は「経営者として、議員、政治家、文化財としてすごい活躍だったと思う」と振り返った。
2009年に燕市に寄付された名誉市民の日本画家、横山操(1920-73)の作品の修復費用にと、治郎さんが500万円を燕市に寄付したことにもあらためて感謝した。