新潟県の燕市と三条市の境界にまたがって1982年(昭和57)に開業したJR燕三条駅で23日、プライドを賭けた燕市と三条市の雌雄を力で決する綱引き大会が開かれ、大接戦を繰り広げた。
棚引き大会後に駅構内の「JRE Local Hub 燕三条」で行われた株式会社ドッツアンドラインズ(齊藤和也代表取締役・三条市帯織)主催「第4回Eki LabものづくりAWARD2023-2024」の授賞式で、ドッツアンドラインズ賞を受けた三条市のデザイナー西村隆行さん(45)が応募した「負けられない戦い!燕市 vs 三条市 綱引き大会」を具現化して今回の綱引き大会となった。
ドッツアンドライズとJR東日本新潟支社が主催し、三条市66人、燕市61人の参加を受け付けた。1回に子どもも含めて30人対30人で対戦し、3本先取で勝敗を決めた。
鏡面仕上げした厚さ3ミリの25センチ四方のステンレス板の中央に「TUG OF WAR(綱引き)」、上下にそれぞれ市名の「TSUBAME」,「SANJO」と文字を抜いたプレートを作成。勝った方の市名を上にして「JRE Local Hub 燕三条」に掲示するという、実質よりもプライドを賭けた戦いだ。
開会式でドッツアンドラインズの齊藤和也代表取締役は「燕と三条は、綱を通じてつながっていることが大事と思う」。燕三条駅の本間美加駅長は「この綱引き大会が話題になって注目されて今後、ますます両市が盛り上げていきましょう」と両市の融和や盛り上がりにつながることに期待した。
一方、三条商工会議所青年部の結城靖博会長が「燕に負けないように頑張りたい」と言えば、燕商工会議所青年部の深海隆義会長は「燕三条地域を一体とする戦いだと思っている…と言いながら燕が勝つので」と笑いあふれる前哨戦で和ませた。
グループでの参加もあったが、基本は現場で初めて顔合わした即席チームにもかかわらず、全力で対戦。かけ声を合わせて綱を引き、勝った方は大歓声を上げてハイタッチするなど大盛り上がりだった。
試合は1本目と3本目は三条、2本目と4本目は燕が勝ち、両市ともがっぷり四つに組む展開。結婚式で上京のため燕三条駅を訪れた学生プロレス経験者の滝沢亮三条市長は、ジャケット脱いで三条市の1-0で迎えた2本目に迷わず参戦。残念ながら負けたが、「これで1対1で、これから本番ですから盛り上がるように1回、負けました」と負けん気いっぱいの敗者インタビューに答えていた。
泣いても笑っても最後の5戦目。スタート当初は燕が優勢だったが、じりじりと三条が盛り返してなかなか決着がつかず、両チームとも腕がパンパン。結局1分15秒にも及ぶ長丁場の結果、三条が勝利し、見学に訪れた元三条市長の国定勇人衆議院も歓喜の輪に加わり、みんなで抱き合って勝利を喜んだ。
JR新潟支社の白山弘子支社長は笑顔で観戦を満喫し、「綱引きをきっかけに両市の連携が地域ににぎわいにつながっていけば」、「駅がこうして人が集まる場所になるのはとてもいいと思った」と話した。
綱引き大会の言い出しっぺとなった西村隆行さんは見学に訪れ、「うっかり思いついたらこんな大ごとになって、すごい盛り上がって良かった」、「まさか最終戦までもつれ込むような絵に描いたような展開になるとは」と驚き、喜んでいた。