雪山で雪庇を踏み抜き500m滑落から奇跡の無傷で生還 一部始終を記録した映像を公開 山スキーに出掛けた三条市民も目撃

(2024.3.29)

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24日、新潟県糸魚川市で雪山を登山していた外国人男性が雪庇(せっぴ)を踏み抜いてなだれに流され、実に500mも滑落しながら無傷で奇跡の生還を果たし、その一部始終を記録した動画がYouTubeで公開された。また、三条市から山スキーに出かけていた男性が、その奇跡の場面に遭遇した。

動画に記録されたステファンさんの滑落の瞬間
動画に記録されたステファンさんの滑落の瞬間

登山インスタグラマーのステファンさんが高松山山頂を過ぎて滑落

滑落したのはステファンさん。登山のインスタグラマー(Stephen Bartolo - @bartsodyssey)でフォロワーは1.2万人。YouTubeチャンネル「何でも登山チャネル」を開設しており、登山中にアクションカメラで撮影していた動画を約15分に編集して28日、公開した。

タイトルは「なだれ事件 新潟県の高松山 - 2024年3月24日 AVALANCHE INCIDENT - MT TAKAMATSU MARCH 24, 2024」。冒頭に「日本の春に遭遇した際の学習体験として、このビデオを最後までご覧ください」とテロップを入れた。

コイケさんと息子のローランドさんと3人のパーティーで糸魚川市の早川の上流、前川を午前3時19分に出発。新田山、アマナ平を抜け、午前9時1分に高松山(1,725m)山頂に到着。次の山、昼闇山へ向かってからスタート地点へ取って返し、下山する予定だった。

山頂を出発し、蛭倉山へ向かう途中でなだれが発生。尾根伝いにスノーシューをはいたコイケさんが先頭を歩き、その足跡をアイゼンをはいたステファンさんが追っていたところ、ステファンは雪庇を踏み抜き、進行方向に向かって左手の斜面に滑落した。

30秒あまりの滑落中もカメラで一部始終を動画撮影

まもなくステファンさんは大きな悲鳴を上げるが、途中から運良く足が下になって滑り台を滑るような状態になった。多少は進行方向をコントロールでき、岩をよけようと試みながら滑り落ちた。

滑落は30秒余りにも及んだ。弥彦山が標高634mなのと考え合わせると、とんでもない滑落だったことが想像できる。滑落している間もステファンさんはカメラを離さず、滑落の一部始終がとらえられた。途中から画面が安定し、ステファンさんが滑落をコントロールできているようすも見てとれる。

斜面に緩やかになって停止すると、ステファンさんは自分の位置を確認し、けががないことも確認し、大きな声で尾根の2人の安全を確認した。

谷に落ちたので、再びなだれに巻き込まれる可能性があり、依然として危険な状況のため、近くの尾根に登ることを選択した。転落時に落ちた山道具を拾い集め、安全に下山して脱出できるようアイゼンを装着。約1時間かけて無事に尾根の登山道にたどり着き、動画の最後を「降りて息子に私が大丈夫だと伝えるつもりです」と締めくくっている。

三条市から山スキーに出掛けていた男性が遠く離れて滑落に遭遇

三条市から山スキーに出掛けていた男性の登山ルートは、途中からステファンさんのパーティーのルートと分岐して焼山(2,400m)へ向かっていた。焼山から北側の深い谷を雪が埋めた一面の広大な北面台地を仲間と2人でスキーで滑るためだ。

三条市の男性が撮影の写真:赤い線が想像される滑落の軌跡、矢印の次るの先の黒い点がステファンさん
三条市の男性が撮影の写真:赤い線が想像される滑落の軌跡、矢印の次るの先の黒い点がステファンさん
三条市の男性が撮影した写真:ステファンさんは左の×印から1時間かけて尾根へ這い上がった
三条市の男性が撮影した写真:ステファンさんは左の×印から1時間かけて尾根へ這い上がった

男性は高松山を右に見ながら登山。ステファンさんと思われる3人のパーティーや5人のパーティーが高松山の尾根を登って行くのを確認していた。

そのうちに叫び声を耳にした。止まって休んでいると、追いついてきた仲間は聞こえなかったと言ったが、尾根のはるか下の雪の斜面に、点のように見える人がいるのを発見した。

その人は動いていなかった。エクストリーム系のスキーヤーやスノーボーダーが急な斜面にチャレンジし、滑って転んで装具が外れてけがし、動けなくなったのではないかといろいろ想像した。

下山中にステファンさんらと遭遇

観察していると尾根の人たちとやりとりしているようすがわかり、携帯電話の電波も届いていて距離もあったので、救助要請はせず、パーティーに任せることにした。

とはいえ、滑落した地点は、上も下も横も這い上がれない切り立った壁のように見えた。かといって下は川。二次災害の危険もあり、そこにとどまっているわけにはいかないだろうと心配していたが、そのうちにその黒い点がちょっとずつ動き始めた。

さらに登山を続けていると、いったん地形的に見えなくなったが、再び見えるようになるとさらに動いていて、ついに尾根にたどり着き、登山道に復帰した。「いや、良かったね、奇跡だねって話をしてた」と胸をなで下ろした。

「ひとりで道じゃないところに落ちて、そこから這い上がるという恐怖。ふつうパニックになるし、けがしてたらどうしようもないし、すごい精神力だと思う。絶対、怖くなる。またなだれが来るとい恐怖もある」と度胸に驚く。

ステファンさんに撮影した写真を提供

帰り道で合流するだろうと思ったら、案の定。「山頂の方で滑落している人いませんでした?」と聞くと、「この人、この人」とステファンさんを指さした。ステファンさんは「雪が緩んでやわらかかったから助かった」と話していた。

下山して車で帰路に着くと再び歩いているステファンさんらに会った。そこで男性が撮った写真をステファンさんに送ると約束した。雪山に滑落したと思われる軌跡と落ちてから尾根に登るまでの軌跡を赤い線で示した2枚の画像は、ステファンさんのYouTube動画のなかに差し込まれた。

インスタグラマーであることも教えてもらい、すっかり心も元気を取り戻したようすだった。アクションカメラで動画を撮ってたので、すごい動画が撮れたからインスタにアップすると、けろっとしていた。

■なだれ事件 新潟県の高松山 - 2024年3月24日 AVALANCHE INCIDENT - MT TAKAMATSU MARCH 24, 2024

■Stephen Bartolo - @bartsodyssey(Instagram)

■何でも登山チャネル


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