新潟県燕三条地域の名だたる工場を開放してものづくり現場を体感してもらう「燕三条 工場の祭典」が10月3日(木)から6日(日)までの4日間で開かれる。ことしは、このところ急速に距離を縮める燕、三条の両商工会議所青年部(YEG)がタッグを組んで実行委員会を組織し運営する。
ことしのキャッチコピーは「ものづくりで繋(つな)げ」。参加工場は昨年の89社を上回る100社を予定し、5月17日まで参加工場を募集。4月12日午後7時から三条商工会議所で説明会を開く。
新しいロゴマークは、鍛冶(かじ)の「火花」、研磨の「輝き」を多様性を表すカラフルな色遣いの線で見立て、祭り、開放、交流を協調するように、ものと文化の集積地を表現した。
4つのチームをつくって新しい取り組みを行う。各チームは、工場の祭典本祭の「ひらく」、学生団体“プリプレス”の立ち上げと学生募集の「みせる」、燕三条ローカルラボ開設・募集とDiscord開設の「つなぐ」、参加工場向けKOUBAミーティング開催/サミットの「まなぶ」。
「みせる」のプリプレスは、産学連携デザインプロジェクト。デザインを学ぶ学生と実行委員会が協力し、工場の祭典の広告物やノベルティーグッズなど外に出していくようなもののデザインを行うことで、クリエイティブな視点を工場の祭典に取り入れ、イベントのブランディング、産地産業の活性化を目指す。5人ていどを募集し、6月から本格的に本祭に向けた制作活動を行う。
「つなぐ」の燕三条ローカルラボは、未来のまち作り人材を育成するための事業。「知る」、「出会う」、「関わる」の3つのフェーズに分けて全7回、実施。地域の歴史を学び、多様な人々との出会いを通じて、工場とのかかわりを深めることで、地域のインナーコミュニケーションを活性化し、未来を創る人材を育成する。
対象は18歳〜39歳のまちづくりに興味があり、かかわりわりたいと思う人、 燕三条のものづくりやまちづくりの歴史、事例を学びたい人、燕三条地域で活動しているプレイヤーとつながりたい人を5月31日まで募集している。参加費は一般10,000円、学生3,000円。
さらに工場の祭典Discordは、工場の祭典にかかわるすべての人の学びの場として機能させる。Discordは掲示板のように投稿できるSNSで、一般の人も参加工場も実行委員会も自由に投稿できるDiscord上での交流を通し、工場の祭典の意義に共感し、一般来場者のゲストからファンへの変化を促す。
「まなぶ」の参加工場向けKOUBAミーティングは、セミナーやワークショップを通じて参加工場自身も学び、もっと楽しめる、魅力あるあ工場の祭典になるようみんなで一緒に考える。
第10回までは実行委員会をはじめ燕三条地場産業振興センター、三条市、燕市が主催したが、第11回の昨年は地元主導のイベントとして新たなスタートをと、実行委員会は組織せず、任意団体に運営を委託。燕三条地場産業振興センター、三条市、燕市の主催とした。
しかし任意団体だけの運営では負担が大きく、ことしは実行委員会を組織して主催する形に戻し、実行委員会を三条、燕のYEGの地元だけで構成した。
両YEGは近年、活動を活発化させるとともに交流が進展している。これまで三条YEGに誘われて燕YEGがさまざまな事業にかかわることがあったが、昨年10月には、おそらく初めて燕YEGの交流会の呼びかけに三条YEGが参加した。昨年度、三条YEGの結城靖弘直前会長と燕YEGの深海隆義直前会長の親交を深めたことも連携に拍車を掛けた。
こうした背景からことしは両YEGがメンバーを出向させて実行委員会を組織した。三条YEGの安達拓未副会長が実行委員長、両YEGの直前会長が副実行委員長、両YEGの現会長が監事に就く。
実行委員会は1日、記者会見してことしの工場の祭典の取り組みを発表した。安達実行委員長は、「1社だけでPRや客を呼び込むやブランディングはハードルが高いが、みんな集まって産地のものづくりとしてPRしていく場、プレイヤーが新しく今後、祭典をどうしていこうかと考える場はとても重要と思う。両YEGは地元の若手のプレーヤーが中心となって組織しているので、そのメンバーと一緒にみんなでどうやってもっと燕三条を良くしいこうかと考えることが今後、大事になる」とタッグを組む意義を話した。
さらに「4つのチームが行う事業を通じて“工場の祭典”は単なるイベントではなく、文化創造のための学び舎としての役割を果たし、燕三条の産業を新たな段階へと導く起点となることを目指している。学びを通じて文化的なものづくりがさらに花開く燕三条を実現するために、これからの事業は地域の産業、文化、そして人々を結びつける重要な架け橋となることを目的としている」と大きな実を結ぶことに期待した。