新潟県三条市から能登半島地震の被災地、石川県穴水町へ出向いて災害支援ボランティアを行う日帰りの三条市ボランティアバスが3月30日、運行された。滝沢亮市長もひとりの市民として参加してボランティアに汗を流し、被災地の状況を目の当たりにした。
三条市社会福祉協議会は2月14日と20日の2回、穴水町へボランティアバスを運行し、この日が3回目。定員15人にほとんどが60代、70代の14人が参加を申し込んだ。河原井拓也県議と加茂市の森友和市議も参加し、日帰りのマイクロバスで資機材を積み込んだトラックとともに現地入りした。
公式訪問では被災地の負担になるからと、滝沢市長はプライベートで参加した。造園業が盛んな三条市保内地区の庭師と2人で前乗りし、穴水町さわやか交流館プルートに開設された穴水町災害ボランティアセンターで一行と合流した。
活動時間は、実質午前10時から午後2時まで。午前と午後で1軒ずつで活動した。作業のほとんどが倒壊したブロック塀の撤去。崩れずに倒れたひとかたまりのブロック塀は、細かく割らないと運べなかったが、そこで庭師が貢献。使い慣れた削岩機でブロック塀を手で持てる大きさに砕き、作業は順調に進んだ。
参加者はリタイアした人が多く、その中で38歳の滝沢市長は若手。自分が頑張らなければと張り切っていたが、進んでボランティアに参加している人たちとあって体力には自信あり。昼休みの時間も惜しむ参加者に滝沢市長は舌を巻いた。
ボランティアを終えて災害ボランティアセンターに戻った滝沢市長は「2トントラックで8往復するブロック塀を運ぶことができ、依頼した家族に非常に感謝していただいた」と話した。
「万が一、こういう事態が三条市で発生した場合、どうやって全国のボランティアしたいという気持ちのある人に三条市に来ていただけるような体制、受け入れられるような体制づくりをこれからしっかりとできるだけ早く準備、検討していかなければならないなと、作業そのものもそうだが、三条市のことも考えることができる機会になった」と気を引き締めた。
具体的な課題としては「ボランティアが来ると、地域の人も来てくれるんだと喜びというか、気持ちが明るくなるような印象があった。ただ同じ地域、集落でも、ボランティアを頼めることを知ってる人と知らない人がいて、住民への周知の方法も三条市でも検討を進めていなければならないと感じた」と学んでいた。
穴水町の吉村光輝町長は、災害ボランティアセンターで三条市の一行を迎えた。吉村町長によると、ボランティアのニーズや活動は変わらず入っており、「非常にニーズをこなせる件数も多くなっている」。さらに「穴水町はおかげさまでライフラインがほぼ復旧した。新年度から道路など本格復旧に向けて今、国といろんな調整を行っている」。
4月中旬から倒壊家屋の解体に着手できるように準備し、進めている。公費解体の申し込みが700件、800件ほどの申し込みを受けている。500件ぐらいが倒壊に近い形で、それ以外でも住めない状況の家があり、約2000件が公費解体の対象と予測する。
全国からのボランティアに「ありがたいの一言に尽きる。非常にボランティアの受け入れもスムーズに各団体の力を借りて、マッチングで派遣もスムーズにいっており、このまま続けられればと思う」と感謝した。
河原井県議は「状況的には想像以上にひどかった。三条市のボランティアの皆さんと一緒に活動できたので非常によかった。今度、三条市内でこういう災害が起きたときにどう対応したらいいのか、あらためて考えさせられた」。
森市議は「民家の人たちも、こういうボランティア一頼りにしてるというのを感じた。皆さんのボランティアの力が必要だなとあらためて感じた」とそれぞれに被災地の状況を肌で感じていた。