6日から15日までの春の全国交通運動に合わせて各地で啓発イベントがスタート。新潟県燕市では、7日に燕市分水地区で行われる分水おいらん道中においらん役、桜太夫が5日、一日警察署長となってドライバーに交通安全を呼びかけた。
燕市交通安全対策協議会(会長・鈴木力燕市長)は毎年、春の全国交通運動の皮切りに出発式と特別街頭指導を行っている。おいらん役の一日警察署長任命も恒例で、協議会を構成する燕市、燕署、燕市交通安全協会や燕市と地方創生に関する包括連携協定を結んでいるヤマト運輸も含め、40人余りが参加した。
市役所で出発式のあと、分水地区熊森地内の国道116号線の待避所に交通指導所を設置し、新潟市方向へ向かう車を止めてドライバーにパフレットやポケットティッシュの啓発グッズを配布した。
おいらん道中では、公募で選ばれた3人のおいらん役がお目見えする。一日警察署長を務めた桜太夫は、埼玉県の古着ショップ店員・秋和紫衣奈(あきわ しいな)さん(26)。警察官の制服を着て、桜太夫のたすきの上に一日警察署長のたすきもかけた。
秋和さんは「春の全国交通安全運動です。よろしくお願いします」とドライバーに話しかけて啓発グッズを手渡した。それまで車を誘導されて緊張した表情のドライバーも思わぬ歓迎ににっこり。なかには秋和さんをスマートフォンで撮影する人もいて、水上英俊燕署長からも「おいらん道中にもぜひ」とPRしていた。
秋和さんは「とても緊張しています。こんな機会はめったにないので光栄で、恐縮です」とドキドキだった。秋和さんは両親と妹とこの日、午前5時ごろ埼玉の自宅を出発した。
父は「いつも高速道路を運転するとすく眠くなってしまうのに、3時間半、眠くならずにノンストップで来ました」と笑った。25年ほど前に約2年間、長岡市で働いた経験がある。そのときに秋和さんは生まれたので、実は長岡生まれ。
「まさか埼玉県の人間が選ばれるわけないと思ってたのに娘が選ばれ、すばらしいイベントだと思った。一日警察署長も含めてめったにない機会。貴重な経験になり、感謝している」と目を細めていた。このまま家族で滞在しておいらん道中を見物する。