全国唯一の民間が市街地で運営する独立した建物の有料公衆トイレともうたう有料多目的トイレが、市街地再生が進む新潟県燕市宮町に「宮町まんなかトイレ」が22日、オープンした。
株式会社つばめいと(燕市宮町)は、2021年度に採択された国の都市構造再編集中支援事業、燕市中心市街地モデル事業として燕地区の商業地である宮町商店街でハードの整備を進めてきた。
事業費は約1億8000万円で、うち約5000万円の補助を受けた。その事業の最後ともなったのが「宮町まんなかトイレ」。「つばめ産学協創スクエア 」の向かって左隣りに設置した。
約2.7メートル四方の木造平屋建てで、外壁はつばめ産学協創スクエアと同じもので統一。広い内部は車いすでも利用しやすく、おむつ交換台とベビーチェア、ハンドドライヤーも設置する。
利用するには、入り口向かって右側のパネルのカバーを上げ、100円を投入すると入り口のロックが解除される。利用後はそのまま退出すればいい。
新潟工科大学倉知ゼミ(建築デザイン)の学生と住宅建設も手掛ける地元建設土建業の株式会社 丸山組とで建築物をコンピューター上の3D空間で構築し、企画・設計・施工・維持管理に関する情報を一元化して活用する「BIM」という手法を活用して設計デザインした。入り口にある線材を使った絵文字のピクトグラムも学生がデザインした。
つばめいとと、つばめいとのスタッフで運営する公益社団法人つばめいと、倉知ゼミは、2021年度から共同研究を行っている。以前から地元住民より要望があった駐車場や公衆トイレ、広場の設計などを宮町商店街店舗の若手オーナーにも参加してもらいワークショップ形式で行ってきた。
海外では公衆トイレが有料になっている国も多い。欧州では駅のトイレは有料が一般的だ。国内でも駅の有料トイレはあるが、ごく限られている。独立した建物では富士山のトイレくらいのもので、まちなかで民間が運営する有料の公衆トイレは極めて珍しい。
つばめいとでは、宮町をちょっと散歩したときでも気軽に利用できるトイレになればと設置したもので、とくに子ども連れに安心感をもってもらえると期待する。
利用料の収益は、トイレの清掃や水道料金など維持管理に充てる。清掃についても地元の人たちに有償で委託したい考えで、公衆トイレを地域のコミュニティーのツールとし、コミュニティーのプレーヤーが広がることにも期待している。