色鉛筆やパステルで描く新潟県三条市作家、渡辺花子さん(45)は、6日、7日の2日間、ことしも三条市・三条東公民館(三条市)で個展「hanacoten(はなこてん) vol.13」を開いている。高校時代からの恩師、墨彩画を描いた藤井克之さん=新潟市西蒲区=がことし3月に死去した。この個展は藤井克之さんのアドバイスを受けてスタートしたもので、追悼の気持ちを込めた個展にしている。
渡辺花子さんは、県立三条高校美術部の顧問だった藤井克之さんにずっと師事してたきた。長岡造形大を卒業し、2010年からほぼ毎年、三条東公民館で「hanacoten」を開催している。
藤井克之さんから引き継いだ三条市・杉山こども美術教室の講師を務めるほか、三条東公民館のパステルアートサークル三条、新潟市・アークオアシス新潟店でパステルアート美術教室と色鉛筆画アークオアシス新潟教室の講師も務める。
今回は三条東公民館のパステルアートサークル三条で手本として描いた16点を含む60点余りを展示。うち半数近くが新作で、ときにメルヘンチックな作品を色鉛筆やパステルならではのやさしい色合いでソフトなタッチで描いている。合わせて作品をデザインしたポストカード、メッセージカード、便せん、トートバッグなどの販売も行っている。
近年、藤井克之さんへの敬意を表して墨彩画を3点、展示している。うち1点は義母からのオーダーで制作した「思い出のグラバー邸」。義母が新婚旅行で長崎のグラバー邸で撮影した写真を元に墨彩画で仕上げている。
藤井克之さんは旧巻町(今の新潟市西蒲区)出身。大阪芸大を卒業し、新潟県立高校の美術教諭に。1998年まで10年間は三条高校美術教諭を務めて退職し、創作に打ち込んだ。ことし3月29日に病気のため69歳で亡くなった。
渡辺花子さんが15年前にこの「hanacoten」をスタートしたのも、藤井克之さんが三条東公民館で開いた教室展がきっかけだった。会場へ足を運び、「ここなら新しいし、わたしもやってみようかな、なーんて言って始めた」。会場の借り方や展示で藤井さんのアドバイスを受けて2010年に初めて開いた。
作品の数が少なかったが、藤井克之さんから、とりあえず毎年やりなさいと言われて、今では13回になった。「わたしを後押ししてくれたり、アドバイスくれたりで、非常にやっぱりありがたかった」と渡辺花子さんにとって掛け替えのない存在だった。
墨彩画を飾るコーナー「これからも続けて、そこのゾーンを墨彩画なり、先生の影響を出していけたらいい」。藤井克之さんは冗談まじりで自分の死後は回顧展を開いてほしいと話していたと言う。三条高校美術物の教え子の間で、回顧展の話も進んでいる。
hanacotenは3日間とも午前10時から午後5時半まで、入場無料。