新潟県弥彦村内の12カ寺でつくる弥彦村仏教会(会長・藤澤眞璽専称寺住職)は11日、照瑞寺(弥彦村井田)で新型ウイルス禍後では初めての釈迦(しゃか)の誕生祝う「はなまつり」を行った。若い世代向けに内容を一新したのが功を奏し、親子の参拝でにぎわった。
釈迦が生まれた4月8日に各地の寺院で花祭りが行われる。仏教行事としては灌仏会(かんぶつえ)。雪国の新潟県内では陽気が穏やかになってから月遅れで5月8日前後に行われることが多い。
弥彦村仏教会でも月遅れで行ってきたが、新型ウイルスの感染拡大の間は休み、ことしは久しぶりの再開となった。
再開に当たっては子どもたちが参拝してくれるようにと、若手の僧りょを中心に昨年から新しい花祭りの形を模索、検討した。
法輪ケープを羽織った6人の小学生の稚児が本堂に入堂し、献灯、献華のあと、御堂に鎮座した高さ20cm余りの釈迦の誕生像にひしゃくをかけた。甘茶をかけるのは、釈迦が生まれたときに九頭の竜が吐いた甘露で産湯を満たしたという伝承に基づく。
続いて読経の響く中、焼香し、ここからが新企画。国際メディア映像専門学校声優科の生徒2人が、手塚治虫の漫画「ブッダ」の紙芝居を口演した。
さらに本堂では宝物の「涅槃図(ねはんず)」にまつわる法話などを行う一方、別の会場で新潟市秋葉区の駄菓子店「昭和基地一丁目 駄菓子やC57」が駄菓子の出張販売を行い、入場制限する人気で子どもたちは色とりどりの駄菓子に夢中だった。最後にカレーの振る舞い行った。
毎年、参拝している地元の約50人に加え、親子も50人以上が参拝した。これまで親子の参拝はほぼゼロだったが、子どもとその親の若い世代が訪れたのは、今までとはまったく違う風景だった。
会長の専称寺・藤澤住職(73)は「無住になっている寺を任されている遠くは東京の住職も含めて、若手が中心になって一生懸命、動いてくれた。初めて新聞の折り込み広告も出したりPRした結果、一気にこんなにたくさんの人が来てくれた」と若手に感謝し、これからの若手の力にも期待していた。