新潟県三条市・八幡宮(藤崎重康宮司)の春季例大祭、通称「三条まつり」の呼び物の大名行列、それに続く舞い込みが15日、奉納された。ことしは市内の小中学校すべてが三条まつりに合わせて休みになったため、例年になく大勢の子どもたち見物に訪れた。さらに女人禁制だった大名行列に初めて女性が参加し、200年を超える三条まつりの歴史に新たな大きな一歩を踏み出した。
三条祭りの大名行列は、2基のみこしの渡御(とぎょ)を伴う。10万石の格式で1822年(文政5)から受け継がれているとされ、三条市の指定文化財ともなっている。
正午過ぎから約300人にのぼる行列を構成する各団体が八幡宮に参集。拝殿で清払い受け、記念撮影を行うなどしたあと、三条若衆会の赤塚直人会長と三条祭り祭典委員会の吉井直樹委員長があいさつして午後0時45分に行列が出発した。
奴(やっこ)とも呼ぶ先供(さきとも)を皮切りにてんぐ、弓持、鷹匠、神職、みこし、囃子方(はやしかた)などが続き、両側に露店が並ぶ参道の八幡小路を進み、さらに大通りで三条市立裏館小学校の4年生以上に200人が合流し、大名行列を先導した。
行列の花形のてんぐは、高さ約60センチもある高げたを大きく振り上げては地面に「カーン!」と甲高い音を鳴らして振り下ろし、邪気を踏みしめた。子どもはてんぐを怖がって泣いたり、おそるおそる見詰めたり、喜んだりと反応はいろいろだった。
道具を投げて受けわたす先供は見物客に人気。道具を見事に受け取ると「すごいね」、「大したもんだ」と拍手がわいた。知り合いに「投げれや」とリクエストされて披露する場面もあった。
大名行列は子どもを除き女人禁制だったが、ことしは初めて八幡宮囃子方組合の女性が10人余りが参加。数が足りないので全員とはいかなかったが、一部の女性はかみしもを着ることもでき、ちょっぴり緊張しながら笛を吹いていた。
ことしは子どもみこしを出した裏館小学校が課外学習とした以外、栄地区と下田地区を含む三条市内すべての小中学校が休業日とした。子供の夏休みなどの長期休業日を分散化する「キッズウィーク」を利用した初めての取り組みだった。
昨年、市内小中学校はまったく休業しなかった。子どもの人出は昨年とは比べものにならないほど多かった。子どもたちのいちばんおお目当ては露店で、露店に近くて歩道にスペースがある三之町病院付近が最もにぎわった。
かつては百貨店「まるよし」があった今の「リオン・ドール三条本町店」に最も見物客が集中しただけに、隔世の感だった。