新潟県加茂市の青海神社は、19日から22日まで「加茂祭」と呼ばれる春季例大祭を行い、大祭の21日は御神幸(ごじんこう)行列も行う。古川洸宮司が3月5日、77歳で死去したため、その子の古川修権禰宜(ごんねぎ)(46)が宮司代理として初めて祭主となって執行する。
青海神社は、青海神社、賀茂(かも)神社、賀茂御祖(みおや)神社の三社の本殿を合殿する。春季例大祭は19日(日)午後7時半からの子守稚児小児御供報賽祭に始まり、9時から賀茂神社と賀茂御祖神社の前宵祭を行う。20日(月)は午後8時半から青海神社の前宵祭を行う。
21日(火)は午前10時から大祭。午後1時半から体育館付近で降神の儀を行って3社の御霊(みたま)を3基のみこしに移し、2時に御神幸式を行って御神幸行列出発。大通りなどを進み、行列が戻ったら5時半ごろから昇神の儀を行う。
最終22日は午後1時半から神楽殿で奉納太々神楽を舞って4日間の祭りを閉じる。20日、21日は露店が開設される。
青海神社の古伝によると、越後の名将上杉謙信は1530(享禄3)正月に三条城で生まれ、母は長岡栖吉城主肥前守長尾顎吉の娘で虎御前と言い、たまたま三条城にあったが、懐妊と知って加茂明神(青海神社の通称)に祈願を込め、自身も月参りをして安産を祈ったと伝わる。
春季例大祭は、近在近郷をあげてにぎわい、みこしの御神幸行列には、白布に「青海大明神」「加茂大明神」と墨書した旒旗を捧げる数十人の子どもたちが先頭に立ち、女の子の「お稚児さま」と男の子の「お徒士(かち)」が続く。
特徴的なのは、誕生後1年くらいまでの幼児をおんぶした若い母親たちの行列。加茂御祖神社の祭神、玉依媛命(タマヨリヒメノミコト)に、愛児が健康で美しく育つようにとの祈りを込めて行列に加わる。
背負った子どもには豪華絢爛たる産衣がかけられる。産衣には、男の子は黒地に鯉の滝昇り、金太郎、桃太郎、鶴亀、女の子には牡丹、芍薬、孔雀、菊花模様などが金糸銀糸で織られている。そのことから別名「乳母(うば)祭」とも呼ばれる。
15日は「かねのお会」が拝殿の鈴から下がった長さ約3.5メートルある五色の15本、鈴を鳴らすための白の2本の緒を納めた。毎年恒例で、春季例大祭の1週間ほど前に拝殿から外し、色あせた表を包む布を新しいものに変えている。
さらに16日は岡ノ町農家組合が参道にある2つの鳥居に新しく作ったしめ縄を下げた。これも毎年恒例で、地元の人たちの奉仕で着々と準備が進んでいる。
一方、古川修権禰宜は、これまで古川洸宮司とともに春季例大祭をはじめさまざまな神事を行事を取り仕切ってきた。古川洸宮司を失っても運営に困ることはないが、本殿には古川洸宮司しか上がれなかった。
「皆さんからたくさんのお力添えをいたいだている」と感謝し、「身の引き締まる思いで勤めさせていただきたい」と話していた。