ウメの産地の新潟県田上町で14日、特産のブランドウメ「越の梅」の収穫、出荷が始まった。梅干し加工に向いた品種で、収量は平年の7割ほどにとどまる見通しだが、品質は例年と変わりない。
「越の梅」は種が小さくて果肉が多く、色つきがいいのが特徴。皮が薄いので梅干しにするのに打ってつけだ。
ことしは2月に気温が高かった影響で開花が平年より5日ほど早まった。開花後の2月下旬から3月上旬にかけて今度は低温の影響を受けて収量が平年の7割ほどとなりそうだ。
5、6月は天候に恵まれて順調に生育して品質のいいウメに仕上がった。畑のウメの木を見ると、たわわに実っている木もあれば、ほとんど実のない木もあり、木によってばらつきが大きい。
JAえちご中越田上町梅生産組合(田巻俊充組合長)では、組合員17人が約7ヘクタールで栽培。ことしは約19トンの出荷を見込み、6月下旬まで続く。
約40アールで約100本の「越の梅」を栽培する田巻俊充さん(68)は、今年度から組合長に就いた。「越の梅」は「皮が薄く、種が小さいので梅干しがまずいちばん。ほかには梅ジュース、梅酒といろんなものに使われている」と言い、「品質はいつものと同じで病気もなく大変、良くできている」と話していた。
ことしの収穫には、助っ人が登場した。田上町の地域おこし協力隊員に着任してまもなく1年になる岡山県出身の杉野勇介さん(29)。都合がつく限り収穫を手伝っている。
ウメが実っているところを見るのを収穫するのも初めて。「想像してたのは、もっと大きいのかと思ったり。意外と簡単に取れるなと。ひたすらもぐだけなので、初心者でも簡単」とウグイスの声を聞きながら青空を見上げて緑の果実をもいでは次々とかごに入れた。
「学べることがあったら田巻さんに学ばせてもらって3年間の協力隊の間で生かせるようにしたい」と楽しみながら収穫していた。