新潟県燕市の副市長を3期、12年にわたり務めて30日で任期満了を迎える南波瑞夫副市長(70)に28日、鈴木力市長が退任辞令を交付した。本来は退任式を行うところだが、南波副市長が固辞したため、臨時部課長会議を開いて辞令を手渡すという異例の「南波流」(鈴木市長)となった。南波副市長は最後に「燕市民のために将来の燕市をつくっているんだという思いで仕事にあたってほしい」という言葉を部課長に託した。
南波副市長は1982年に合併前の旧燕市に奉職。高橋甚一市長時代に重用され、2010年に菊地剛副市長の急逝に伴って副市長に就任。通算42年間、市役所とともに歩んだ。
名器マーチンのギターで弾き語りをたしなみ、自嘲気味に「燕のボブ・ディラン」とうそぶく。還暦を過ぎて米国大陸を大型バイクで横断したバイカーという、やんちゃな一面も持ち味だ。
退任辞令を受けた南波副市長は予定通り庁内をあいさつに回ったあと、出先施設へあいさつに向かった。庁舎を去るときに見送りに出たのは、南波副市長の後を次いで7月1日から副市長に就く遠藤一真総務部長ら4人の部下。最後だからと一人ひとりと握手。たまらず涙をこぼす部下もいた。
南波副市長はマイバイクではなく、いつも通りマイカーに乗り込んで自身が建設の陣頭指揮に立った庁舎を後にした。