新潟県新潟市を中心にチンドン活動を笑いを届ける「華やぎちんどん隊」の4年ぶり2回目となる大感謝祭「笑〜(ショー)タイム」が29日、新潟県立生涯学習推進センターで開かれ、来場者は1時間半にもおよぶ突き抜けた笑いのパフォーマンスをたっぷり笑顔で楽しんだ。
2020年に新潟市民芸術文化会館「りゅーとぴあ」で行われた60歳以上限定の演劇ワークショップ発表公演に登場した「チンドン隊」。それで終わりのはずだったが、このまま終わらせるのはもったいないと「華やぎちんどん隊」に生まれ変わった。
その年の暮れには第1回の感謝祭を成功させた。しかし新型ウイルスの感染拡大で活動はままならず、ようやく4年ぶりの感謝祭。午前と午後の2回公演で、第1部オープニング、第2部エンタメ劇場、第3部華ちん祭りの三部構成で実に20を超える演目を披露した。
演者は演劇経験者の女性8人。カラフルな衣装のちんどん屋スタイルで登場し、さっそく太鼓や鐘をたたき、鍵盤ハーモニカを吹いて、客席の通路を練り歩いてスタートした。
オープニングはチンドン曲に続いて数え唄に囃子(あやし)唄。今回、初登場の小学生5人の「ちび華」と一緒に歌ったり、踊ったり。エンタメ劇場では、ギャグ満載で「東京ブギウギ」や「フォーチュンクッキー」を歌ったり踊ったりに、「寛一お宮」をもじったミニ芝居も。
華ちん祭りでは、「万歳太鼓」で来場者と「万歳」のコール&レスポンス。「さくら音頭」では舞台と客席が一体になって踊り、来場者を巻き込んだ。
午前の公演は200人近くが来場した。約1時間半もの間、ずっと笑顔で過ごす機会はめったにない。「こんなにすごいとは思わなかった」、「たくさんあったね。大したもんだ」と大満足だった。
公演の最後で脚本演出・衣装の後藤信子さん(69)は、2年前に手術を受けたことを話した。そのときに後藤さんを支えてくれたのは家族はもちろん、「華ちんのメンバーといると心の支えになった」。
治療が進むと体が衰弱し、心が重くなったが、「これでは立ち上げといてやめられないという気持ちで、曲の歌詞を書き、メンバーに曲をつけて演目を増やした」と逆に発奮した。
「華ちんのメンバーは笑顔が大好きで、食べ物だと思ってる。それを食べさせると妖怪のように元気に大丈夫になる。皆さんもいろんなことがあったとしても、自分で大きな声をあげて、笑ってることを大切にして、あのとき華ちんがばかなことをやっていたなと思い出してくれたら私たちは幸せです」と願った。
終演後、燕に住むメンバーの「お福」こと上田佳澄さん(59)は「皆さんのおかげでここまでたくさんのお客さんに来ていただいて、面白い演目ができたかなと自負している」とやりとげてほっとした表情だった。