新潟県三条市に本社を置く調理器具やアウトドア用品製造のパール金属株式会社の代表取締役会長、高波久雄さん(83)が代表理事に就く一般社団法人高波龍風記念財団は4日、地元の三条市立大学(アハメド・シャハリアル学長)の学生40人を高波龍風奨学金奨学生に認定した。
高波さんは3億円の私財を原資に自身の雅号を冠した財団を設立し、2022年度から奨学生1人につき返済の必要がない月額4万円、年額48万円の奨学金を給付している。ことしは各学年10人の40人を奨学生に認定した。
4日は認定式を行い、高波さんから各学年代表に認定証を手渡した。高波さんは東京で丁稚(でっち)奉公で社会人をスタートしてからこれまでの歩みを振り返り、自身の経験を話した。
約60年間、商売をしてきていろんな人に応援してもらったり、助けてもらったり、いろんな事件に遭ったりしたが、「いろんな人から恩を受けたが、恩返しをしようと思っても亡くなった人もいるし、連絡が取れず恩を返すことができない。そんなことで私は考えた。皆さんに恩送りをしたいと思った」と奨学金を始めた思いを話し、学生にもその思いを引き継いでくれることを願った。
奨学生代表で3年続けて奨学生に認定された4年高嶋類起(るいき)さん(21)=新潟市西蒲区出身=は、財団の支援を受けたなかで「目標としていたCAD利用技術者試験準1級を取得し、製造業や小売業の就職活動で有利に立ち回ることができ、無事に第1志望としていた小売業の企業がから内定をいただいた」と感謝した。
シャハリアル学長は大学での4年間で「いろんなことを学ぶと同時に人間に磨きを入れていい社会人になってくれると我々も頑張ったかいががある」と奨学生の奮起に期待した。