新潟県三条市と福島県只見町を結ぶ国道289号の交通不能区間「八十里越(はちじゅうりごえ)」は、早ければ2026年秋の暫定開通が見込まれる。とくに只見町にとっては命をつなぐ道。開通に向けた機運を醸成しようと三条市の若手経営者が中心の異業種交流団体「三条エコノミークラブ」(岩瀬晶伍会長・会員52人)は8月31(土)、三条市内の八十里越から新潟県央基幹病院まで会員がたすきをつないでリレーして駆け抜ける。
8月例会「新しい道!新しい未来!〜八十里越街道襷(たすき)リレー〜」として行う。スタート地点は八十里越工事区間の三条側から5番目の橋、5号橋梁(きょうりょう)。そこで午前10時に開会式を行い、第1走者の滝沢亮市長が出発する。
続いて会員1人が約1kmを走って会員35人でたすきをつなぎ、新潟県央基幹病院まで38.6kmをリレーする。八十里越の通行できない区間は、工事用道路を走る。リレーのようすは撮影して、三条エコノミークラブと八十里越街道のPR動画も作成、配信する。
岩瀬会長は神奈川県横浜市出身。移住して20年になる三条市に何か恩返しがしたいという気持ちが強い。今回の事業の担当、三条エコノミークラブ内の2つのグループのうち第2グループのリーダーの田中大夢さん(30)=中越印刷常務取締役=。は、「われわれも岩瀬会長と同じような思いがある。この春に新潟県央基幹病院が開院したタイミングでリレーの企画を思いついた」と話す。
只見町の救急搬送先は会津若松市で、約1時間半かかる。八十里越が開通すれば新潟県央基幹病院への搬送で約20分間、短縮でき、それによって助かる命がある。まさに命をつなぐ道となる。
田中さんは「ぱっと思いついてやることになったが、関係機関の協力を得る必要があり、ここまで大変だとは思わなかった」と苦笑い。国交省北陸地方整備局長岡国道事務所が積極的な協力に背中を押してくれている=。
詳しい内容はなお検討中。「只見町からバイクに乗ってきてたすきを渡そうというプランもあるが、会員で力を合わせていいリレーにしたい」と意気込んでいる。