新潟県弥彦村で「彌彦神社燈篭おしと舞楽」として1978年(昭和53)に国重要無形民俗文化財に指定されいてる弥彦燈籠(とうろう)まつりがことしも25日に行われた。日本三大燈籠(とうろう)祭りのひとつに数えられる。心配された雨も朝のうち一時的に激しい雨が降った以外はほとんど降らず、行事は予定通りで弥彦の夏は熱気に包まれた。
大灯籠は角棒を組んで幅約1m、長さ約2.5m、高さ約60cmの方形にし、上と側面に紙を張ってあかりともし、四方に紙を張り、上に造花が飾られる。弥彦村内外の12の講中がそれぞれ大燈籠を仕立てて町内を進むまつりだ。
朝から子ども燈籠押しと青年燈籠押しで始まった。青年燈籠押しは雨に見舞われてずぶぬれになることもあった。弥彦神社で大祭の神事などが行われ、拝殿前の仮舞殿では里神楽や剣舞、詩吟が奉納された。
巡行路をケヤキを引いて走って払い清めるといよいよ大燈籠の出番。各講中が順に弥彦神社で参拝したあと、宿下がりで大燈籠をかついでそれぞれの宿へ向かい、たる太鼓、よさいこソーラン、「一宮甚句」の踊り、まとい振りなどを披露した。
そのうちに奉納花火大会が始まって夜空を焦がし、弥彦山松明大行進が温泉街を進んだ。弥彦山松明大行進には、翌26日に長岡市で行われるアジア山岳連盟30周年記念行事に参加する90人を含め、約240人が参加。本来は山頂から松明を手に下山するところだったが、雨で登山道が危険なため、登山道入り口から弥彦神社へ向かう短縮ルートで行った。
続いて神輿渡御(みこしとぎょ)が弥彦神社を出発。田楽燈籠、神歌楽(かがらく)と天犬舞(あまいぬのまい)の2人の稚児、伊夜日子大神と妻戸大神を移した2基の神輿などで行列を編成し、大燈籠とともに町内を進んだ。
厳かに進む神輿渡御の“静”に対し、大燈籠は“動”。道中、足を止めて木やりを歌い、壊れるかと思うほど激しく大燈籠をもんだり、2基の大燈籠をぶつけて力いっぱい押し合ったりと気勢を爆発させた。
おもちゃ箱をひっくり返したテーマパークのような非日常のにぎいわいに、初めて弥彦燈籠まつりを見学した人は「こんなにすごいまつりとは思わなかった」、「あれもこれも同時に行われてぜいたく」と別格の魅力にあふれた弥彦燈籠まつりに圧倒されていた。