7月27日に新潟県の「佐渡島(さど)の金山」の世界遺産登録が決まったのを受けて「道の駅 燕三条地場産センター」(三条市須頃1)では、10日(土)から18日(日)まで開く「燕三条じばさんお盆フェア2024」の催しのひとつとして企画した佐渡金銀山の採掘道具レプリカ展だけ前倒しして8月1日から開き、2日、3日と開かれる長岡花火の見物客にも紹介している。
「道心斉正行(どうしんさいまさつら)」を名乗る玄能鍛冶(げんのうかじ)職人、馬場正行さん(75)が製作した佐渡金銀山の採掘に使われた道具のレプリカを展示している。
2019年に佐渡にオープンした佐渡金銀山ガイダンス施設「きらりうむ佐渡」に、馬場さん製作のレプリカが展示されている。可能な限り昔ながらの製法、材料で製作してほしいという要望があった。
馬場さんは以前から世界遺産登録を目指す「『佐渡金銀山』世界遺産登録三条チアプロジェクト」にかかわっている。おまけに昔ながらの製法、古式鍛錬にこだわっていることから、馬場さんに白羽の矢が立った。
オープンの前年にオーダーを受けて製作。「たがねの再生と上田ばしの利用」のコーナーに上田ばしと穿鎚(かいづち)にたがね6本のレプリカが展示されている。今回のレプリカ展は、そのときに製作して納品しなかったレプリカ数十点を展示している。
江戸時代の佐渡金銀山の採掘道具を真に再現するために、日本刀の原材料「玉鋼」を生産するために用いられる「たたら製鉄」という手法で鉄材を作った。燃料には炭、焼き入れには油ではなく水を使った。
馬場さんは製作した当時を「風車もない、手でふいごをおこして。今の時代で今の文明の利器を使うとあの味は出ない。わたしは昭和の人間だが、480年前の人間になって作るのは大変だった」と振り返る。「学芸員とかなりバトルもあった」と笑う。
ついに悲願の世界遺産登録の実現については「夢破れて山河ありじゃないけども、あんまりにも時間がたちすぎた。私が手がけてからもう6年たった。県庁から電話が入って、馬場さん、ようやく決まったと言われたけど、なんの話かわからなかったけど、酔いが覚めた」と目を丸くする。
「本格的に10日から展示ということで、そのとき皆さんまた大勢いらっしゃってください。本当につまらない作品でございます」と謙そんしている。レプリカ展は「燕三条じばさんお盆フェア2024」が終わるまでずっと開いている。