5月に失火による火災で休業している燕背脂ラーメンの元祖「杭州飯店」(新潟県燕市燕)が13日、3カ月ぶりにいよいよ営業を再開する。全国に知られる名店だけに復活を心待ちにしていたファンは多い。社長の徐直行さん(53)は「長岡花火には間に合わなかったが、盆にはなんとか間に合った」と営業再開を間近にして一息ついている。
鉄骨造3階建ての建物の1階が店舗。5月19日に厨房(ちゅうぼう)から出火。火元の厨房を中心に燃えた。厨房は設備も含めて内装をそっくり新しくした。客席も内装を張り替えたが、基本的なレイアウトは変わらない。
ただ、営業中では手をつけにくかったトイレを新しくし、時代に合わせて車いすの人も利用しやすい広さにした。座席数も少し減らしてゆったりさせる。
老朽化していた冷蔵庫を入れ替えることができた。厨房の火を扱う場所には猛暑に対応して新たにスポットクーラーを設置し、労働環境を改善できたのは、けがの功名だ。
メニューも値段も味もこれまでと変えない。それが客へのいちばんのサービスと考える。7日が引き渡しで8日に保健所の検査。13日の営業再開までカウントダウンだが、6日になって店内はがらんとしたままで「本当に13日に間に合うかって感じ」と徐さんは笑う。
営業再開に向けた改修工事は予想以上に費用がかさむことがわかった。新築も考えたが、そうなると今の店舗の解体工事に費用がかかるため、現店舗の建物を生かした改修工事に決めた。
当初は1カ月もあれば営業を再開できると軽く考えていたが、とても1カ月は無理とわかり、せめて8月2日、3日の長岡まつりの大花火大会前の再開を目指した。
「長岡花火も結構、お客さんが来てくれるんだわ」と徐さん。長岡花火の見物を恒例にしていて、新潟市内に宿泊し、長岡花火に向かう途中で燕三条駅で降りてタクシーで杭州飯店に乗り付ける人がいる。
「ことしもこれから行って来ますって言う人が毎年、何人かいて。こっちに親せきがあるわけでもなく、花火を見に来てラーメン食うのが楽しみなんだって言ったり。ことしは期待をかなえってあげられなかった」と申し訳なく思っている。
それでも帰省客がふるさとの新潟を代表するソウルフードを味わいたいという思いに応えようと帰省客でにぎわう盆の営業再開を目指し、墓参りの13日に何とか間に合わせられることになった。
「皆さまにご迷惑とご心配をおかけしたが、またぜひお越しください」と火災前と変わらず杭州飯店を引き立ててくれることを願っている。
営業再開初日の13日は午前11時から午後3時まで通し営業、14日から18日までは午前11時から売り切れまで通し営業。その後は平常通り平日は昼は午前11時〜午後2時半、夜は5時〜8時、土、日曜と祝日は午前11時から午後6時半の通し営業。定休日は月曜で、月2回は月、火曜の2連休がある。