新潟県新潟市西蒲区の巻地区で墓参りの13日、ことしも新潟の郷土玩具、鯛車(たいぐるま)を貸し出し、鯛車をひいて墓参りしてもらう「鯛の盆」が行われた。
鯛車は、タイをかたどってタケで骨組みを組み、和紙を張った張りぼてに木製の車輪を付け、中にろうそくをともして引いて歩く郷土玩具。巻地区では鯛車をつくる職人が絶えていたが、2005年に鯛車復活プロジェクトを発足し、教室を開いて鯛車を作れる人を育て、新たに鯛車を作っている。
11年に巻地区まちづくり協議会主催で「鯛の盆」を始めた。新潟市巻文化会館で墓参りに出かける人たちに鯛車を1台100円で貸し出している。文化会館周辺には寺が多く、墓参りには鯛車を借りるのが定着し、伝統になりつつある。
ことしも日が沈むと浴衣を来た親子が切れ目なく訪れた。手作りなので鯛車の表情はまちまち。子どもたちは好きな鯛車を選んで、ガラガラと音を立ててひいてそれぞれの寺へ向かった。
昔ならちょうちんくらいしかあかりのない通りをほんのりと光って進む鯛車は、まさに闇の中を泳ぐような幻想的な風景だったことを想像させた。