新潟県内各地の商店街で老朽化に伴うアーケードの撤去が進むなか、三条市の三条中央商店街振興組合(鈴木直理事長・加盟58人)が1983年(昭和53)に設置したアーケードの解体、撤去作業が盆休み明けの19日、始まった。
アーケードは、本町2の本寺小路の入り口となる「本町二丁目」交差点から本町4の丸山紙店角の丁字路までの大通り約250メートルの区間の道路両側の歩道上に設置されている。
8月に入ってアーケードの天井にある照明は消灯して撤去するなど撤去作業の準備を始めた。週明けの19日の作業は東端の化粧品店だった旧「かもや」部分のアーケードが撤去された。9月いっぱいで撤去作業は終わる予定だ。
老朽化を犬の散歩中のおしっこによる腐食が拍車をかけ、支柱に穴が空いた所も多く、補修を繰り返してきた。とどめをさしたのが、ことし元日の能登半島地震。想像以上に損傷が大きく、管理業者から危険な状態と判断された。
5年ほど前から老朽化対策を検討してきたが、組合員が減って新設の費用の捻出は不可能と判断し、解体撤去を決断した。
解体にも多額の費用がかかるため、補助金の活用を模索したが、新設などの条件がないと対象になる補助金はない。建設当時のいきさつから知る鈴木理事長の世代でないと、解体を取りまとめて実行するのは難しい。事故が起こってからでは取り返しがつかない。先延ばしは許されず、費用は組合の全額負担で解体に踏み切った。
加茂市では近年、加茂駅前から連なる商店街が補助金も活用してアーケードを新設しているが、それは例外的。地元商店街の衰退でアーケードを新設はもちろん、維持管理する体力もなくなり、アーケードを撤去せざるを得なくなっている商店街が多い。
三条市内では2009年に建設から39年たった昭栄通り商店街のオーバーアーケードが撤去され、燕市でも13年にサンロード宮町の築36年のオーバーアーケードが撤去されている。
「いつ何が起きるかわからないなかで、危険をわかりながら何かあったときには、責任を取らなければならない」と鈴木理事長。「能登半島地震の補修にしても相当な金額がかかる。もう小さい補修はいっぱいやってきて今度、これ以上、大きい補修となると組合の資金が底をつく。その前に今のうちに解体できるなら」と苦渋の決断だった。
「これから冬に向かってあまりいい時期じゃないけど、勘弁していただいて。やっぱり安全がいちばんですから」と理解を求めている。