早ければ2026年秋の暫定開通が見込まれる新潟県三条市と福島県只見町を結ぶ国道289号の交通不能区間「八十里越(はちじゅうりごえ)」。三条市の若手経営者が中心の異業種交流団体「三条エコノミークラブ」(岩瀬晶伍会長・会員52人)は、31日(土)に行う「八十里越街道襷(たすき)リレー」に向けて準備作業も大詰めだ。
8月例会「新しい道!新しい未来!〜八十里越街道襷リレー〜」として、三条市内で八十里越から新潟県央基幹病院まで会員がたすきをつないで走破する。
当日は午前10時から八十里越工事区間の三条側から7番目のトンネル、7号トンネルで開会式を行う。
10時35分に三条側から5番目の橋の5号橋りょうの福島側からリレーをスタート。オレンジ色の地に白抜きで「SEC八十里越街道襷リレー」と名入れしたたすきを長岡国道事務所から滝沢亮市長が受け取って第1走者を務める。
5号橋りょうの途中で滝沢市長から岩瀬晶伍会長(39)が受け、そこから次々と会員がたすきををつないで1人が約1kmを走る。県央基幹病院まで約38kmを市長を含め会員36人リレーし、5時間かけて午後3時45分ごろゴールの予定だ。
ふだん運動をしていない人には1kmを走るのも厳しいが、自信がない会員は走り切れるように体力づくりし、会員一人ひとりも準備を進めている。
八十里越開通に向けた機運を醸成しようと企画した事業。リレーのようすを動画にしてPRに役立てようというねらいもある。
三条エコノミークラブは、次代を担う2代目経営者が集まり勉強していこうと1961年に発足した三条市の若手経済団体。会員は2つのグループに分かれて事業に取り組んでいるが、ことしは2つのグループを束ねた合同企画で会員交流という形をとることにした。
岩瀬会長は「コロナ禍では、会員同士が交流できなかったこともあり、みんなが一致団結できるようなものがあったら面白いかなと思った。8月にその企画をやってほしいと言ったが、想像の上をいく企画をみんなが考えてくれた。まさか八十里越をたすきでつなぐことになるとは、まったく想像しなかった」と驚き、笑う。
岩瀬会長は神奈川県横浜市出身で、カヌーワイルドウォーターの元日本代表。2004年に新潟県スポーツ協会職員となり、三条市下田地区に移住。その後、三条市スポーツ協会職員となり、人生の半分を新潟で過ごす。14年に三条エコノミークラブに入会してから10年になったことし、会長に就いた。
実家で過ごしたのは18歳まで。「横浜はやっぱりふるさとだが、三条がわが町っていう気持ちは強い。新潟に来て本当によくしてもらったなと思った20年間だった」と振り返る。
「僕ができることは、スポーツ協会としてしっかり頑張ることはもちろん、三条エコノミークラブに入って、地域経済やいろんな企業の人と会うなかで、この地域の良さとか、企業の連帯感の強さみたいなものをすごく感じる。僕ができること、僕が伝えなきゃいけないこと、外から来た僕だからこそできることが常日ごろあるんじゃないのかと」。
「会長職をさせてもらってるのは多分、会にとってもすごく異例な抜てきだったと思う。この会に入って良かったとすごく感じる。多分、スポーツ関係で異業種の団体に入る人もいないし、全国を見渡してもスポーツ関係者やスポーツ協会の人が経済団体に入るなんてことはほぼないと思う。ありがたいこと」と、アスリートではあまりできない経験をしたり、交遊関係を広げられたことを感謝している。
たすきリレーへの思いは、「会のPRとシティセールスにもなるところがまさにマッチしている。僕が恩返ししたいという気持ちは個人的にはあるが、会としてこの地域に生きる僕らとしては八十里越は重要な要素になってくるし、三条エコノミークラブとして、地域経済を支える僕らができることは何だろうかっていうのを考えた結果だと思う」。
「とにかく当日、無事安全に帰ってくることが第一優先。とくにグループのみんながよく頑張ってここまで準備してきたので、何とか成功したりしてほしいな思っている」とこれまでの準備が報われ、実を結ぶことを期待している。