新潟県三条市下田地区の出身で幕末維新から明治、大正期に自由民権運動を進めた政治家、西潟為蔵(にしかた ためぞう)(1845-1924)の没後100周年と自由民権運動150周年を記念した「西潟為蔵展」が、27日から10月27日まで三条市歴史民俗産業資料館で開かれている。展示している西潟為蔵ゆかりの品のなかで、当時の著名人が名を連ねる寄せ書き屏風は、西潟為蔵の幅広い人脈や交遊関係を象徴している。
初日27日のオープニングは、西潟家の現当主の三条信用金庫会長、西潟精一さん(70)と母方の西川家の現当主、元三条市議の西川哲司さん(73)の記念トークショーが行われた。主催のNPO法人為蔵会の理事長、弥久保宏駒沢女子大教授が司会を務め、定員20人で募集したところ約80人が参加する大入りだった。
西潟さんによると展示している寄せ書き屏風はずっと新潟市の自宅にあったが、実家にあった方がいいだろうと20年ほど前に実家に移し、茶の間に置いているという。
外へ出すのはおそらく初めて。為蔵の古希祝いの寄せ書きを張った屏風で、1915年ごろの書かれたものと思われる。そこにある98人の署名のなかには首相に就いた原敬と高橋是清から、今の新発田市出身の実業家の大倉喜八郎、三条出身の実業家で衆議院議員で今のマルハニチロの前身の日魯漁業株式会社を創業した堤清六、県議と三条町長を務めた渡邊寅蔵ら偉人とも言える歴史に名を残す人など著名人の名前がずらりと並んでいる。
ほかにも為蔵の系図、相関図、早ければ2年後の秋に開通するとされる為蔵が尽力した八十里越開削運動の関連資料。さらに1987年(明治20)12月に為蔵あてに出された保安条例により東京からの退去を命じれた退去状、翌88年(明治21)2月に為蔵が伊藤博文首相に出した辞職勧告書の控えのコピー、その報復として同年4月に警視庁に示された出版条例違反(のちに不起訴)による拘留状も展示している。
午前9時から午後5時まで開館、月曜と月末日は休館、入館無料。問い合わせは三条市生涯学習課(0256-47-0048)。