新潟の奥座敷の面影を残す新潟市西蒲区の岩室温泉で、古くなった観光看板を新しくする事業に伴う新たなロゴマークが完成。8日、旅館「穂々」で行われた「“黒湯の日”祭り」でお披露目された。
新しいロゴマークを制作したのは、三条市出身のデザイナー、石川竜太さん(48)=(株)フレーム代表取締役=。岩室温泉の観光関連事業者や中学生が参加したワークショップで地元の人たちの思いを集め、ロゴ制作に反映させた。
一様にまちににぎわいがほしいという声が多かった。石川さんは「皆さんが岩室温泉のもつ財産に対するとても深い愛をしっかりと理解しながらどういうふうに生かそうかとデザインに取り組んだ」と基本的な姿勢を話した。
温泉のマークをモチーフに、誰もが温泉のまちと認識できる温泉マークの3本の湯気を2本にすると、岩室の「い」に見える。湯気が1本少ないのは「足りないのではなく、みんなの思いをしっかり受け止める場所。変化をしたり許容したりできる場所」と意図を話した。
岩室温泉観光協会(岡崎秀会長)は今年度、西蒲区長の提案事業のなかで「岩室温泉いらっしゃいインバウンド看板事業」に取り組んでいる。岩室温泉の観光看板が周辺に5台あり、設置から数十年たつものもある。それらを新しい看板に更新し、国道沿いに1台を新設する。
それに伴って新たな岩室温泉のイメージを象徴するロゴも制作した。事業費は約1900万円。どの看板も基本デザインは一緒で年内、遅くとも今年度内に設置する。
岩室温泉観光協会の岡崎秀会長は、地域を巻き込んで岩室温泉の将来像を考えていこうと「昨年度から自治会と観光協会、旅館組合、振興会で岩室温泉の景観整備の勉強会を立ち上げたこともあり、その第一歩になるのではと看板整備に取り組んだ」と話した。
ワークショップの開催などの実施や運営に取り組んだ岩室温泉旅館組合青年部の岡崎雄太郎部長は、岩室地域も後継者不足が大きな課題になっているが、一方で20代、30代でも家業を継ぐ人が出始め、「何十年かたったときに、このロゴはは我々がつくった、我々がかかわったと言ってもらうことで、地元に残る人が増えればありがたいし、地元に戻るきっかけになれば、若者もかかわった未来につなぐプロジェクトとなる」と話した。