尾瀬の玄関口となる新潟県魚沼市「大湯温泉すずらん通り」に昨年、期間限定でオープンしたレトロコレクションを展示する「魚沼レトロ商店」。ことしはその2号店ともなる「昭和の社交場すずらん」とあわせて9月14日(土)から11月4日(月)までの土、日曜と祝日に開店する。
ひと昔前には飲食店などが軒を連ね、袖ふれあうほどのにぎわいがあった大湯温泉街。しかし今は観光客が減少して往時の名残も薄れている。
この現状を打開しようと民間が主導する団体「尾瀬ルート活性化委員会」と「うおぬまレトロ化計画」が協働。行政や観光協会を巻き込んで昨年、1カ月の期間限定で「大湯のすずらん通り」に空き店舗を活用してレトロコレクションを展示する実証実験店舗「魚沼レトロ商店」を設置したところ1,255人もの来場者を集めた。
ことしはそのとなりに新たに2号店として「昭和の社交場すずらん」を設置。秋の観光シーズンにあわせて14日から11月4日までの土、日曜と祝日の午前9時から午後5時まで営業する。
「魚沼レトロ商店」は土産物店だった建物で、昭和の雑誌、ポスター、ブリキのおもちゃ、看板、テレビゲームなどがぎっしりと並ぶ。「昭和の社交場すずらん」は居酒屋だった建物で、酒のボトルが並んでいたカウンターの中に景品を並べて射的とスマートボールが遊べるようにしたほか、スマートボールもプレーでき、ウルトラマンの大きなフィギュアやレコードも展示されている。
「親せきが射的屋をやっていて、店番を頼まれるがいやだった」とこぼしながらも当時を懐かしんで射的で遊ぶ女性もいた。
店舗が面する大湯温泉すずらん通りは車1台がやっと通れるほど細くて曲がりくねった道。ほかも古い建物ばかりで、昭和にタイムスリップしたような感覚を味わえてレトロ好きにはたまらない。
展示品のほとんどが魚沼市の櫻井治さん(63)のレトロコレクション。数万展にもおよびコレクションを自宅を含め4カ所に展示しており、魚沼レトロ商店だけでもざっと1万点を展示している。
「夢だった。保育園のころから。ぼく、大きくなったらたくさんの人を喜ばせたいんだ」と身の回りにある物の収集を始めるようになった櫻井さんは、生まれつきのコレクター。魚沼レトロ商店の取り組みに、「長年の夢がこのような形でできたことを感謝している。レトロに恵まれたことに感謝。もっと大きくしていけたら」と喜んでいた。
開店に向けて出雲崎町の「出雲崎レトロミュージアム」や新潟市秋葉区の駄菓子屋「昭和基地一丁目C57」も協力した。12日に行ったオープンイベントでは、三条市の「KYOWA クラシックカー&ライフステーション」が1978年(昭和53年式)の「いすゞ117クーペ」の持ち込んで展示した。
尾瀬ルート活性化委員会の星雅彦代表は「2号店開店を契機に、地域でこれが楽しみになって、大ごとにならなくても継続ができる、これが協力していただいた皆さんへの報いになる」とあいさつした。
うおぬまレトロ化計画の榎本健二代表は「レトロ好きの皆さまの協力がなければ展開もままならない。今後とも魚沼のレトロ化計画、新潟のレトロをよろしくお願いする」とあいさつし、いずれもこれからの進展に期待した。
オープンイベントでは、昭和歌謡祭と題して長岡市の大人アイドル長岡応援団 「がぁがぁがぁるず」と地元の謎のオヤジ集団「ザ・サブローズ」が歌謡ショーを披露して盛り上げた。
魚沼レトロ商店の活動に参加したい人や興味のある人、問い合わせは榎本代表(090-9820-2219)へ。