精肉と加工食品販売の老舗、株式会社原仙(原田昌彦社長・新潟県三条市一ノ門1)は18日、再建した新店舗で営業を再開する。2022年5月1日に火災で店舗を焼失してから2年半近くになり、「タレかつ丼」をはじめ原仙の味が復活する。
オペレーションの確認や地域への感謝の気持ちを込めて14日、プレオープンしてミニタレかつ丼と豚汁を振る舞った。近所の50人をほどが来店し、三条のソウルフードともいえる食べ慣れた味を懐かしんだ。
15日は東三条商店街で開かれる三条マルシェの出店に合わせて、午前10時から店舗前で数量限定でタレかつ丼を1,000円で販売し、なくなりしだい終了する。
火災で鉄筋コンクリート3階建ての店舗は全焼したが、タレかつのたれのベースと寸胴(ずんどう)は残った。それを使って火災前と変わらない味を再現できた。
豚、牛、鳥の精肉やタレかつ丼のほか、オリジナルのメンチボールあんかけ(150円)やロースカツ(400円)、ひれ一口カツ(210円)、メンチカツ(220円)、ハムカツ(120円)、アジフライ(200円)などをラインナップ。物価高騰で値上げしたものもあるが、それでもボリュームや値段には自信がある。
原則として日曜定休で営業時間は午前10時から午後6時半まで、6時15分ラストオーダーだが、オープンから4日間は1時間遅れの午前11時から営業。また、21日は営業、22、23日は休業する。
3代目の妻、久子さん(81)は営業再開後もそれ以前と変わらず店に立つ。久子さんにも新しい制服が支給され、「仲間に入れてくれて、私の分もちゃんと配布されました」とにっこり。「80歳で仕事ができるのが、いちばんありがたい。人生100歳の世の中だから、もう5年、10年くらい店に顔を出せたらいいなと思ってます」と張り切っている。
火災は近所に延焼せず、店舗の上に住んでいた二男の吉章さん(48)ともども生き延び、同じ場所で店を再開できることになり、原仙の歴史を続けられることに感謝する。社長の長男、昌彦さん(52)が「継いでくれると言ったときは本当にうれしかったですね」と思い出し、「嫁さんが長男を産んでくれて。最後にはこの店を守るんじゃないかなっていう気がしてます」と今から期待する。
火災で3人のパートは全員、退職の形をとったが、営業再開が決まると、ほかに勤めた人もいるのにみんな帰ってきれくれた。定年してもう少し働きたいという人や何十年も前に高校生でアルバイトしていた女性も「お姉さん、お願い言ってきて」。火災前より多く7、8人のパートでシフトを組んで店を回すことになった。
「お世話をかけないで健康第一に考えながら、いいおばあちゃんになっていようと思ってます。商売屋はお世話かけることがいちばん大変なので」と家族や店のために気遣っている。
4代目の昌彦さんは「仲間うちや近所の人がいろいろとしてくれて、立ち直れました。みんなの支えがあって再開でき、ありがたいと思っています」と感謝の言葉しかない。問い合わせは原仙(0256-33-0310)へ。