新潟県燕市の燕郵便局近く、国道289号に面したひときわ目立つ大きなログハウスで営業する「寿司レストラン まんぷくログ勇(いさみ)」(廿六木三区)が9月30日、閉店した。1964年(昭和39)にすし店として開業してからちょうど60年の節目の年に幕を閉じた。
谷口義範さん(83)、紀子さん(81)夫婦が店を切り盛りしてきた。燕市宮町にすし店を開いたのが始まり。燕市花園町で営業を続ける「いさみ鮨 花園店」は義範さんの弟が経営する。
洋食と和食を修業した2人の息子が店に入ってくれることになったのを契機に、すしだけで勝負は難しいと、1996年(平成8)に今の場所に移転した。店舗はカナダの建設会社に依頼して本格的なログハウスに。すしのほかに和洋中がそろうファミリーレストランのような多彩なメニューになった。牛ハラミ丼や要望に答えたラーメンが人気になった。
谷口さん夫婦も高齢になった。板前も同様。ひところはアルバイトやパートを含め20人も雇用したこともあるが、今は求人しても応募がなく、人手不足が慢性化。さらには数年前に次男が、次いで長男も店をやめることになり、後継者を失った。
2019年9月29日にいったんは閉店したが、葬儀会社から通夜ぶるまいなどの料理を続けてほしいという強い要望があり、それと持ち帰り弁当の販売だけで再開。そのうちに店に入って来る人が増え始め、結局、2カ月後の11月29日はランチ営業を再開した。
長男が店をやめることになり、2023年11月から再び持ち帰り弁当だけの営業に。さらに以前から進めていた店舗の譲渡についても譲渡先が見つかったことで、9月末の閉店が決まった。
紀子さんは「子どもとみんなで働けて幸せだったって話してるんですよ」。「みなさんいい人ばかりで楽しかった」と感謝していた。
最終日だからと来店した人は「お疲れさまでした。なんか寂しくてしようがない」と残念がっていた。2回目の閉店はあまり告知もせず、ひっそりと幕を下ろした。