15日公示された衆院選の新潟2区に、社民党県連合が推薦する菊田真紀子氏=立憲・前=、自民党県連が推薦する細田健一氏=無所属・前=、井上基之氏=維新・新=の3人が立候補し27日の投開票日まで12日間の選挙戦が始まった。新潟2区は細田氏が裏金問題で自民党から比例代表への重複立候補が認められない非公認になったことで全国的にも注目区となっている。裏金問題の是非、さらには細田氏に対する自民党本部の対応を有権者がどう判断するかが大きなポイントになっている。
菊田氏の陣営は午前9時過ぎから選挙事務所で出陣式、続いて第一声を放った。選対本部長の杉井旬県外が、3年前の総選挙で投開票日に菊田氏が夫を失ったことにふれた。杉井県議が「人を失うというものすごいプレッシャーのなかで本人も心がくじけそうになったことと思う」と話すと菊田氏が涙をぬぐう場面もあった。
第一声で菊田氏は、国民が必死につつましく頑張って暮らしを営んでいるのに「何百万円もこそっと裏金をつくり、キックバックを繰り返していた。立法府に身を置く者がルールを守らなくてどうするのか。国民に負担増を押しつけながら自分たちだけは私腹を肥やし、脱税まがいのことをする人には退場してもらおうではないか」と訴えた。
そのうえで政策活動費の廃止、企業献金の禁止、国会議員の定数削減、世襲議員の制限の実行を約束。さらに賃金格差の是正、最低最低賃金1500円への引き上げ、正規雇用への転換を図る企業への支援、地方の中小企業やものづくり産地への投資と支援を進める。
小中学校給食費の無償化法案は、議員立法の提出者の代表として出している。自民党が廃止した農家への戸別所得補償制度の復活、拡充などを話し、「安心して託してほしい。自民党の政治を変えていこう。政権交代こそ最大の政治改革。菊田真紀子に託してほしい」と述べた。
細田陣営は正午からチャレンジャー燕三条店前で県央地区の出陣式を行った。細田氏は「政治資金の問題で有権者に深刻な政治不信が引き起こされていることをあらためて本当に心からお詫びを申し上げたい」、「二度とこのようなことを起こしてはならないという強い決意のもと、今後、身を処していく」とわびた。
能登半島地震に伴う新潟市西区の液状化現象に対応、新潟の基幹産業と言えるコメづくりに自民党農林部会長として全力で取り組む。都会に行った若者がふるさとに戻って働いてくれる、「産業振興農業振興、あるいは震災の復興ができるのは、われわれ与党の連立政権なのか、あるいは野党の皆さんなのか」と訴えた。
「私は自民党に育てられた人間。県連の推薦をいただき、自民党新潟第2選挙区支部長という職にある。自民党の人間として、この地域、今の世代に大きな大きな責任をもっている。この責任を引き続き果たさせてほしい」と求めた。
「今回の選挙戦、私には後がない。無所属なので比例復活の道もない。国会に戻るには総選挙区で勝つしかない。小選挙区で1票でも相手の方に上回って勝利をする。それしか私が国会に戻る道はない」、「国会に戻ってこの地域のために、皆さんのために必ず恩返しをさせていただく」とし、「力を貸してほしい、助けてほしい」と支援を求めた。
井上氏は午前10時半から新潟市南区のすし政ダイニングさら前で街頭演説を行った。井上氏は、日本維新の会の特徴は、企業団体献金の全面禁止、政策活動費の廃止、旧文通費の自主公開で、「まずは政治家自身が変わり、そして国民と信頼関係をつくる、そのうえで地域から国へと声を上げていく政党」とした。
「裏金問題で揺れるこの国会の状況だからこそ、日本維新の会が掲げるこの改革がまず前提として必要になってくる。こんなことが争点に挙げられること自体が、私を含め多くの国民が大問題だと思っている。当たり前のこと。政治家がまず槐(かい)より始めよ、政治家自身がしっかりと律することから、初めて国民有権者の方々はこの人を信頼性活動を任せようと思う」と裏金問題を批判。「政治家自身がオープンでクリーンな政治を目指していこうではないか」と訴えた。
医療や社会保険制度への不安、少子化による人口減少に対応した制度の見直し、少子化問題に取り組む。社会を支えていく現役世代、次世代に向けた徹底投資を行うため、社会保険料を下げる。
さらに「政治をあきらめる気持ちは本当によくわかる、あきれてしまう気持ちも本当にわかる。国民がこんなに苦しい思いをしているのに不記載、裏金問題なんか起こしている政治家にこのあとの地域や国のかじとりをまかせていいはずがないじゃないか」と批判を繰り返し、「日本維新の会は声を上げていく。次の世代に胸を張ってこの日本という国、新潟という地域のバトンを引き継いでいくために一生懸命頑張っていく」と支援を求めた。