5日から15日まで佐賀県などを会場に行われた「SAGA2024国民スポーツ大会」の自転車競技女子で、新潟県長岡市出身で燕市民の水谷彩奈さん(19)=日体大1年=は、ケイリンと個人ロードレースで優勝し、2冠を達成した。ケイリンは昨年に続く2連覇。新潟県代表として女子総合とチーム・スプリントで3位となる大活躍だった。
水谷さんは15日、燕市役所と村長が新潟県自転車競技連盟会長の弥彦村役場を訪問した。水谷さんが中学生のころから支援してくれている新潟県自転車競技連盟の権瓶修也理事長とともにメダルと賞状を手に成績を報告した。
燕市では小林靖直教育長が水谷さんを歓迎。身長153センチと小柄な水谷さんが、タイプの違う2種目で優勝の快挙に驚き、称賛した。
水谷さんの自転車競技のキャリアは、ほしいと言ったわけではないが、小学校3年生でクリスマスに父がクロスバイクを買ってくれたことに始まる。子どものころは両親に野球、絵、ピアノといろいろなことを体験させてもらった。
小学校5年生からトライアスロンを始め、全国大会にも出場した。中学生になると、水泳の選手コースと中学校の陸上部とあわせて自転車も始めた。
自転車はチームに入らず、いわば家族がチーム。毎週のように関東などの大会に出場し、大会本番が練習のように。高校は水泳と陸上はやめ、ことしでインターハイ8連覇になった強豪、愛媛県松山市にある松山学院高校の自転車競技部へ進んだ。
松山学院には全国から有力選手が集まる。1年生で出はインターハイに出場できなかったが、3年生では長距離を走るロードレースで優勝。さらにポイント数を競うポイントレースと追い抜きの2kmIP( インディデュアルパーシュート)で準優勝と輝かしい成績を収めた。
3年生の12月から高校の練習を離れて静岡県の伊豆が拠点の日本代表チームに入って練習。日本体育大学へ進んだ。
水谷さんに続くように自転車競技を目指す弟の悠平さん(16)が今春、燕市・県立吉田高校へ進学し、自転車競技部に入部。それに合わせて実家は燕市へ引っ越し、水谷さんは燕市民になった。
水谷さんは今回の国スポを振り返る。「ケイリンは去年も勝っていて、ことしもチャンスがあったので、2連覇できたらいいなって思ってたんですけど、ロードは最近、インカレとかも全然、結果が出てなかったので、走りきれるかも正直わかってなくて優勝できたのがびっくりです」。予想を上回る結果だった。
「ふだんは日本代表チームや大学のチームでやってるのでプレッシャーとか結構あるんですけど、今回は新潟県チームでメンバーも違うし、すごく全体を通して楽しかったし、自分としても何か次につながる走りができたのかなと思う」とにっこり。
もちろん五輪出場の夢はあるが、水谷さんにとってはそれより世界選手権優勝が大きな夢。「高校2年生で初めて世界選手権に出たときに1歳年上のフランスの選手にボコボコにされて、それでなんか自分もああやって走れるようになりたいなっていうのが自分の中では一番大きな目標です」。そのフランス選手は、パリパラリンピックで2位になっている。
パリ五輪には出場のチャンスがあった。女子トップ選手4人が出場し、水谷さんはリザーブのいわば5番手だった。「ほかの選手と比べたら日本の中では比較的、強い方ではあるんですけど、上にいる4人の選手には全然、まだまだ届かないし、海外に行ったらもっと戦えないので、まずはその4人に食らいついていくことをいちばん頑張らないといけないです」と目標は明確。次は12月にニュージーランドで開かれる国際大会に出場する。
権瓶理事長は「まだ大学1年生。自転車は年配で活躍している選手も多く、経験が必要。今、いっぱい大会に出てるので、それが全部、糧になっている」と見ている。「一瞬の判断力が必要。これからそういう力もどんどん発揮してくれると思う」とさらなる活躍を確信している。