新潟県燕市で2カ所目となる最終処分場跡地を活用したメガソーラー発電所が2日、本格稼働を開始した。一般家庭約580世帯分の年間消費電力を発電して地元8社に供給することで、電力の地産地消、カーボンニュートラル、企業のサプライチェーンの生き残り、最終処分場の維持管理費用の節約といった成果が期待される。
燕市は2022年度から舘野地内の最終処分場「クリーンセンター舘野」の跡地を活用したメガソーラー発電所を誘致した。
電力コンサルティング事業や電源開発事業に取り組む株式会社IQg(水田昌紀代表取締役・東京都千代田区)と地元のパッケージなど企画製造の株式会社ほしゆう(星野光治代表取締役・燕市)が出資して、合同会社スワローXFF(エックスエフエフ・東京都千代田区)を設立して運営している。
電力の供給先は、吉田金属工業(株)、(有)伊鈴製作所、(株)ゴトウ熔接、(株)エンテック、(有)山崎抜型ら8社の10拠点。2年前に8社に経産省の補助金を共同申請してもらった。
昨年7月に着工して発電量が540wのソーラーパネル4,268枚を設置。発電所出力:は2,304KW、想定発電量:2,452千 Kwh/年で、一般家庭約580世帯分の年間電力に相当する。
供給先事業が使用する電力の40%を供給し、不足分はIQgが調達する。3月から試運転して電力会社との調整もあって2日の本格稼働となった。燕市では、2012年から吉田南最終処分場跡地を活用してPVP JAPAN(株)がメガソーラー発電所を設置し、地代代わりに毎年、100万円以上を燕市に寄付している。
2日はソーラー発電にはあいにく雨のなか、現地で竣工式が行われた。IQgの水田代表取締役は「全量買い取り制度は終焉(しゅうえん)を迎え、これからは発電所から生まれた電力を直接、事業者に届けるという流れが日本では主流になっていく」とし、「できるだけ長く、できれば30年間、この発電所からの電力を地元企業の皆様に使い続けていただけるよう取り組む」と話した。
鈴木力市長は、2022年の6月市議会で実質的な二酸化炭素排出ゼロを目指すゼロカーボンシティー宣言を行い、そのプロジェクトとして最終処分場の埋め立て後の跡地活用としてメガソーラー発電所の誘致を公募した経緯を話した。
最終処分場跡地を賃貸することで跡地の維持管理用費用を節約できる。世界でサプライチェーンでの脱炭素化の取り組むが進むなか、脱炭素経営が死活問題となってくることも予想される。
「このプロジェクトは環境政策であると産業振興政策であると思っている。8社の企業で自然エネルギーを利用しているということで、きっとその会社はゼロカーボンに貢献している企業ということで取引先から注目されると思う」と、こうした動きが地元産業界に広がっていくことに期待した。