明治期に自由民権運動を牽引した政治家、西潟為蔵（にしかた ためぞう・1845-1924）の没100周年記念式典と祝賀会が17日、出身地の新潟県三条市で開かれた。為蔵を顕彰するNPO法人西潟為蔵会（理事長・弥久保宏駒澤女子大教授）が主催。3年後までに開通が見込まれる国道289号・八十里越の開削にも私財を投じて貢献した為蔵の功績を次世代へ継承し、新たな地方創生の取り組みの出発点にした。

為蔵は村松藩南蒲原郡鹿峠組福岡新田村、三条市合併前の下田村福岡に生まれた。自由民権運動を展開するなかで1887年（明治20）に保安条例により東京からの退去を命じれた。翌88年（明治21）に伊藤博文首相に辞職勧告書を送付し、その報復として同年に警視庁に示された出版条例違反（のちに不起訴）により投獄もされた。

90年（明治23）の第1回衆院選で当選して2期4年間、代議士を務めた。その後、南蒲原郡議、新潟県議、新潟日報社専務理事、長沢村議会議員、新潟県治水会名誉会長、財団法人新潟聾唖学校理事などに就いた。

寄付も募って西潟為蔵会が没100周年記念事業に取り組む

西潟為蔵会は、弥久保理事長の尽力で2019年に発足。毎年、為蔵を題材にした地方創生フォーラムの開催や講演会の開催、会報「西潟為蔵通信」の発行を続け、21年には顕彰碑の建立といった活動を展開している。

ことしは為蔵が死去してからちょうど100年。没100周年記念事業実行委員会（石丸進委員長）を組織し、主な記念事業として、西潟為蔵顕彰レリーフ設置、西潟為蔵の小伝（ビジュアル版）発行、西潟為蔵を称える歌のCD化、西潟為蔵展の開催、没100周年記念冊子と記念式典開催などに取り組んでいる。

顕彰レリーフの設置場所は未定だが現在、製作中。会場にはそれを小型化した見本を一足早く展示した。西潟為蔵を称える歌のCD化は、地元下田地区でふるさとを歌うシンガーソングライター、一本道スヂオ（本名：熊倉善幸）さんが作詞・作曲して歌う『八十リバティ』が完成。式典の出席者にCDを配布し、祝賀会では一本道さんが生演奏も披露した。

西潟為蔵展は8月から10月まで三条市歴史民俗産業資料館で開催。小伝と記念冊子は来年5月の刊行を予定する。

最終目標はNHKの大河ドラマ『為蔵がやってくる』　為蔵生誕200周年の2045年に

式典には56人が出席した。弥久保理事長は、没100周年記念式典をホップ、27年の八十里越開通と西潟為蔵記念郷土博物館の設置をステップ、そして2045年の為蔵生誕200周年にNHK大河ドラマ「為蔵がやってくる」をジャンプと位置付ける構想を示した。

「私どもの活動の最終的な目的は、NHKの大河ドラマ『為蔵がやってくる』と私が勝手にタイトルを決めさせていただいた」と弥久保理事長。「八十里越が開通する3年後ぐらいに何とか為蔵を記念する郷土博物館を設置し、これをステップにして、21年後の2045年は為蔵の生誕200周年に向けてホップ、ステップ、ジャンプで皆さんのご支援をたまわり、活動を大きく展開したい」と夢を語った。

石丸実行委員長は、「為三の精神を21世紀の地方創生に生かし、将来の地域の担い手となる子どもたちの郷土教育につながるものであると考えている」と為蔵の功績を後世に伝える意義を話した。

来賓祝辞で滝沢亮三条市長は「八十里越の開通を機に、この下田に、そして三条にさらに注目していただき、西潟為蔵さんの功績、活躍が三条のみならず県内全域、また福島県にもつながるような活動を皆さまと一緒にやっていきたい」。

菊田真紀子衆院議員は「西潟為蔵さんをひとつの核にして、この地域で新たな価値観を皆さんとともに生み出していきたい、つくり出していきたい。私も微力だが国政の場で力を尽くしていきたい」。

西潟家の現当主の西潟精一さんは「今後、何らからの依頼があれば、うちにある資料とか協力していきたい。2045年とあったが、当面はできれば3年以内に開通する八十里越でなんらかのいい会ができればいい」とそれぞれの述べた。

『為蔵がやってくる』のモチーフは田中角栄と西潟為蔵の2人の話に

また、その後の祝賀会で新潟日報社の小田敏三相談役は、田中角栄の番記者を5年間、務めた思い出などを話し、「21年後の大河ドラマ『為蔵がやってくる』は多分、モチーフは田中角栄、西潟為蔵の2人の話だと思う。ぜひ実現をして世に西潟為蔵が田中角栄と並んで広く知られるような良い機会が、そういう時期が訪れることを祈念する」と期待した。

西潟為蔵会では700万円を目標に記念事業に充てる募金活動を行っている。募金期間は2025年7月まで。寄付者には寄付者芳名録に記して永遠に記録保存し、多額の寄付をした人は名前を銘板に記録する。寄付する人は振り込む前に事務局担当（電話：070-4462-4437、FAX：042-708-802、Eメール：nishikatatamezokai@gmail.com）へ連絡する。振込先と『八十リバティ』の歌詞は次の通り。

関連リンク

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