新潟県三条市の三条商工会議所青年部(小野塚雄也会長)は10日、三条市体育文化会館でお笑いコンビ「カラテカ」で清掃会社を起業した入江慎也さん(47)を講師に「起業・新事業アイディア創出セミナー」を開き、約250人が来場して笑いをまじえた入江さんのこれまでの歩みやクロストーク楽しく聴いた。
三条商議所青年部は、燕三条地域には、新しいビジネスモデルの構築やデジタル技術の活用とか学べることはたくさんあり、この地域の若手経営者がよりいっそう活躍できるようなセミナーとして企画した。
講師の入江さんは東京都小平市出身で1997年に同級生の矢部太郎さんと「カラテカ」を結成。闇営業問題で2019年に吉本興業を解雇され、1年余り清掃のアルバイトをして20年にゼロから清掃会社ピカピカを立ち上げた。
高校から同級生の相方の矢部太郎さん(47)の身長は入江さんと同じ158cmで、体重36kgの安室奈美恵さんと同じプロフィールと笑わせて始めた。吉本興業を解雇されて「地に足のついた仕事をやればと矢部に言われた」。
無くならない仕事をしようと飲食業か清掃業かで迷い、清掃業を選んだ。清掃会社で2カ月で独立するが働かせてほしいと言って結局1年間、アルバイトした。これまで広告宣伝費をいっさい行わず、インスタグラムだけでPRしたおかんげで、人材不足のなかでも人材が集まっている。
「何でもいいので小さな目標設定をもって生きてほしい。もってる、もってないでは全然、違う」、「プライベートが仕事になる」、「行動したら何かが見えた」と自身の経験から学んだことを話した。
座右の銘は「行った先には何かある」。やらないことの後悔をしないよう勧めた。芸人時代から「WBC理論」(笑い、びっくり、チェック)をもっている。そのなかにも芸人時代の裏話や、活躍している芸人に対する悔しさをばねにして克服してきたことも話し、来場者を引きつけた。
続くクロストークは、入江さんと2017年に三条市で創業したおしゃれな作業着をネットで販売する株式会社ヴィヴィッドリー代表の小野里会長、1970年創業の燕市の金属製品製造業・熊倉シャーリング有限会社3代目で燕商工会議所青年部の熊倉正人会長の3人でテーマごとに意見を交わした。
熊倉会長は「会社の風土、常識を変えることがDXと言われているが、それを徹底してやろうと決めてやってる。会社も大きくなればいいというものじゃなく、この地域のスモールジャイアント的な存在になりたいと思う」などとそれぞれ思いを話した。
また、来場者のなかには、ことし8月に三条市で清掃業「羽賀美掃」を起業した羽賀風真さん(30)夫婦もいた。クロストークで壇上から熊倉会長が清掃の発注先として紹介した。
羽賀さんは「清掃業は暗い、汚いっていうイメージをもたれがちな業種ですが、笑うことやユニホームを変えて明るくするとか、そういったことを聴いて、若いわたしたちからのアプローチも業界に反映されるのかなと思った」と自信を深めていた。