3月に新潟県燕市・宮町商店街にオープンした複合施設「まちトープ」に18日、寄付された本でできたブックツリーが点灯を始めた。施設の本来の目的である「みんなの居場所になれば」の願いを込めたブックツリー。クリスマスの25日から好きな本を無料で自由に持ち帰ってもらい、本を通じて新たな出会いが生まれ、心温まる季節をみんなで楽しむプロジェクトだ。
仕掛けたのは燕市にフォトスタジオを構える株式会社オフィスアトムの代表取締役、宗村亜登武(むねむら あとむ)さん(43)。まちトープの奥にあるキッチンスタジオをフォトスタジオとして借りている。
これまで飲食業者にまた貸ししていたが、11月で退去したため、フォトスタジオに使っている。まちトープに出入りする機会が増えたが、そのうちにまちトープがカフェとして認識されているのが気になった。
宗村さんは「民間の公民館のような施設を目指していたのに、それっぽい活動がされていない。カフェスペースでは利用者も少なくなってしまう」と心配していた。
社会福祉関連のサイトを検索していたときにブックツリーを知った。不要になった本をクリスマスツリーのように積み上げるブックツリーという取り組みを知った。それをまちトープでやってみようと思いついた。
15日まで知り合いに声をかけたりSNSで呼びかけたりみんなの思いが詰まった本の寄付を募った。絵本を中心にざっと5,000冊もの本が寄せられた。15日にまちトープの関係者ら10人ほどが集まったときにブックツリーをつくり、1.5メートルほどの高さに積み上がった。
イルミネーションを巻き、てっぺんに歌い踊るサンタクロースの人形を載せて完成。18日は関係者でちょっとした点灯式を行って点灯を開始した。
25日からは、好きな本を自由に持ち帰ることができる。27日に片付け、残った本は買い取り店に引き取ってもらおうと考えている。
「予想外。雑な呼びかけだったのに、こんなにたくさん集まるとは思ってもみなかった」と宗村さんは反響を喜ぶ。「この絵本はまちトープでもらったんだと、子どもたちが記憶してくれたらうれしい」と願う。
ブックツリーの取り組みが、市内のほかの施設へも広がることも期待する。「クリスマスになると燕市のあちこちにブックツリーがあると言われるくらいになれば」と夢見ている。