二十四節気の各節気を約5日ずつに分けて季節を表す「七十二候(しちじゅうにこう)」。新潟県燕市の一般社団法燕市観光協会(山崎悦次会長)は、季節にあわせた燕市の魅力を写真に収めた写真集を二十歳にプレゼントしようと活動する「燕七十二候委員会」に制作を委託して来年のカレンダー「燕七十二候2025」を発行した。
42センチ四方の月めぐりカレンダー。燕七十二候委員会メンバーのうち4人がそれぞれの月に撮影した写真を選んでカレンダーに配置した。モチーフは、儀礼や年中行事の「非日常(ハレ)」とふだんの生活の「日常(ケ)」の2つに大別される。
1月の写真は道の駅 SORAIRO 国上で撮った「塞(さい)の神」の「ハレ」なら、2月は西燕地区の道路の奥に冠雪の粟ヶ岳を望む「ある日の澄んだ朝」の「ケ」といった具合だ。
カレンダー用に撮ったわけではなく、写真集をイメージしてメンバー撮りためた作品のなかから選定した。そのため写真は説明的ではなく、撮影者それぞれの視点や切り口、感性が色濃く表れた作家性の高い一風変わったカレンダーに仕上がった。
500部を作成し、工場見学などを受け入れている企業や燕市へ送客している旅行会社、観光関連会社などに配布している。配布分以外は数は少ないが燕市観光協会と「道の駅 SORAIRO 国上」で一部2,000円で販売している。
燕七十二候委員会は昨年夏、発足した。2021年に長野県佐久市でデザイングループが制作した佐久市の景色を季節のごとの暮らしの風景を収めた写真集「佐久市七十二候」に刺激を受けた。
燕市の景色を写真に残すだけではなく、1冊のアルバムとして若い人に住んできたまちの魅力を形にして残してあげたい。2026年度の燕市の二十歳のつどいで、二十歳に写真集「燕七十二候」の贈呈を目指して燕七十二候委員会を組織し、燕七十二候プロジェクトをスタートした。資金は地元企業やスポンサーの支援を募る考えだ。
燕市観光協会と相談しながらプロジェクトを進めるなかで、燕市観光協会がカレンダー制作を提案し、燕七十二候委員会に制作を委託した。燕市観光協会が発行する初めてのカレンダーでもある。
燕七十二候委員会の代表は、三条市出身で燕市に住むカメラマン帰山芳文さん(38)。カレンダー制作を引き受けたのには、2つの理由があった。「ひとつは政策委員会を表に出して、こんなことをやっている人がいるんだということを表に出す一歩にしたかった」と帰山さんは話す。
もうひとつは「メンバーが仕事などに忙殺されていて、モチベーションを上げるためにもカレンダー制作をマイルストーンと設定して、小さなハードルを毎年、越えていこうと思った」。
メンバーは帰山さんと同世代の燕市の写真仲間を中心に10人ほど。それぞれ自由に撮りたい写真を撮りためている。カレンダーを制作する過程で、「何月の写真が少ないとか、写真集に足りないところも見えてきた」と帰山さんにとって気づきもあった。
来年はカレンダーが燕市のふるさと納税の返礼品にと期待している。「カレンダーが形になって、プロジェクトのスタートラインに立てた。メンバーで情報共有しながらブラッシュアップしていきたい」と達成感を味わいながら次のステップを目指している。カレンダーに関する問い合わせは燕市観光協会(0256-64-7630)へ。