三条市立大学と日本精機が戦略的パートナーシップ 学生の自由な発想で日本精機のイノベーションを (2025.1.12)

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新潟県三条市の三条市立大学(アハメド・シャハリアル学長)と車載用の計器やセンサーの製造を主力とする日本精機株式会社(佐藤浩一代表取締役社長・長岡市)は8日、イノベーションの創出に関する連携協定を締結した。今回の協定は企業の社内からは生まれないアイデアやイノベーションによるブレークスルーを学生に期待し、学生が企業にメリットをもたらす三条市立大学にとって初めての戦略的パートナーシップで、日本精機にとっても初めての形での大学との連携になる。

左から滝沢市長、佐藤社長、シャハリアル学長
左から滝沢市長、佐藤社長、シャハリアル学長

協定の目的は、日本精機の技術開発分野のノウハウと三条市立大学の実学重視のカリキュラムの融合でイノベーションを創出し、社会の発展を目指す。具体的には技術開発に関する教育・研究活動、製品の付加価値向上に資する教育・研究活動、イノベーション創出を担う人材育成に関することの3つが柱だ。

具体的には「S-POCリサーチ」と名付けた三条市立大学独自のプログラムに取り組む。「POC」は「技術の概念実証(Proof of Concept)」のこと。企業がもつ技術と三条市立大学の学生のクリエイティビティーを掛け合わせて新たなニーズや用途をつくり出し、技術の実用性の実証を目指す。

「S-POCリサーチ」の実施予定プログラムの一例
「S-POCリサーチ」の実施予定プログラムの一例

来年度、まず4年生の卒業研究の一環で行い、日本精機の技術シーズをもとに商品開発のプロセスを学生がリアルに経験しながら学びを深める。日本精機はこれまでも教育機関で商品開発の出張授業などを行っているが、今回は両者がより深くコミットし、最終的には新たな出口戦略を生み出すことを目指す。

8日に三条市立大学で協定締結式が行われた。佐藤社長は、自社の技術を活用して民生品など、もっと新しいものが作れないかとチャレンジしているが「なかなか芽が出ていない。それが会社の課題になっていた」と話した。

連携協定締結式で協定書に署名
連携協定締結式で協定書に署名


若手社員のアイデアが生かしきれないという悩みも抱えている。社内でアイデアコンテストも実施しているが、出てくるのはメーターやヘッドアップディスプレーといった既存の製品の延長のアイデア。電気自動車へのシフト、それに伴う中国の自動車メーカーの台頭など世界の自動車産業が大きな転換点を迎えているなかで「歯がゆさがあり、自分たちでビジネスをクリエーションすることにチャレンジしてほしいと思っていた」。

そんな思いを抱えたなかで昨年6月に参加した講演会でシャハリアル学長が目指す大学の姿に深く共感して声かけしたのに端を発し、連携協定につながった。これまでも三条市立大学学生の産学連携実習を積極的に受け入れているが、連携協定により「学生ならではの自由な発想と日本精機のこれまで培ってきた技術を組み合わせて、新たなイノベーションが創出されることを大変、期待している」と述べた。

佐藤社長
佐藤社長

一方、シャハリアル学長は、燕三条地域の約150社と連携しているが、今回の連携協定は「イノベーションを通じてその付加価値をつくっていく。その意味では、ワンランク上の付き合いをしていくことになる」。

学生の学び、経験学習の一環を継続しながら「企業に対して我々がメリットをもたらすことができるような運びにしたい」とし、「これが本学にとって初めての戦略的なパートナーシップという形になる」と学生が企業に貢献するという意味でもこれまでには連携協定になることを強調した。

シャハリアル学長
シャハリアル学長

同席した滝沢亮三条市長も「この協定の締結を機に三条市立大学が日本精機の役に立てる、この地域全体の役に立てるような拠点になることを祈念する」と与えられるばかりでなく、与える側としての三条市立大学の役割に期待した。

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